働き方改革関連法のうち改正労働者派遣法の施行日

2018年9月14日 | から管理者 | ファイル: 働き方改革関連法, 労働者派遣法.
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働き方改革法は、先週関連政省令が公布され、36協定の様式や記載例などさらなる詳細な情報がまとめられた厚生労働省のサイトが公表されましたので、下記からご参照ください。

・厚生労働省 「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」について

複雑で悩ましい働き方改革関連法の施行日

本日は、最近少しだけ話題となっている、改正労働者派遣法の施行日は一体いつなのか問題について、取り上げさせていただきます。
法改正において、施行日というのは一番といってもいいほどの重要な要素であると考えます。しかしながら、例えば、働き方改革関連法案の概要をまとめた厚生労働省のリーフレット「働き方改革~一億総活躍社会の実現に向けて~」を読むと、なぜか施行日が一切書かれていません。「画竜点睛を欠く」とはまさにこのことで、このリーフレットをまじめに読んだ方は「で、いつから始まるんでしたっけ?」と呆然と立ち尽くしてしまうような気もします。
他に施行日が書かれた資料もありますので忘れたわけではなさそうですが、背景には、8つの法律の改正を含み、大きく分けて5段階の施行日となっているといった複雑な事情を抱えていることがうかがえます。

小欄では、働き方改革関連法の施行日について、いろいろと複雑な事情を抱えていることを踏まえ、改正法が公布された直後に連載企画を実施しましたので、ご参照ください。

1 平成30年7月9日付 「働き方改革法の施行日①(法律別)」
2 平成30年7月10日付 「働き方改革法の施行日②(項目別)」
3 平成30年7月13日付 「働き方改革法の施行日③(施行日順)」

取り急ぎ理解したい方は③のみ、深く理解したい方は①~③までお読みいただくことをおすすめします。

なぜ、改正労働者派遣法の施行日がよくわからない状況になっているのか

さて本日の本題に戻ります。答えはシンプルで平成32(2020)年4月1日です。答えは簡単なのですが、なぜよくわからない状況になっているのでしょうか。

この間の報道やネット上の記事などで、よく見受けられる表は下記のようになってしまっているようです。

〇よくある表

大企業 中小企業
同一労働同一賃金 2020年4月~ 2021年4月~

この表自体はただちに間違いではないのですが、やや誤解をしかねない表現になってしまっています。より正しく書こうとするとやや冗長になってしまいますが、下表のとおりとなります。

〇より正しい表

項目 対象 法律 大企業 中小企業
同一労働同一賃金(不合理な待遇差をなくすための規定の整備) 均衡待遇規定の明確化・均等待遇規定の整備 パートタイム労働者・有期雇用労働者 パートタイム労働法、労働契約法 平成32
(2020)年4月~
平成33
(2021)年4月~
均等・均衡待遇規定の創設(「派遣先均等・均衡方式」と「労使協定方式」の選択制) 派遣労働者 労働者派遣法 平成32(2020)年4月~

同一企業内での正社員とパートタイム労働者・有期雇用労働者との均衡・均等については、中小企業に1年の猶予(経過措置)が設けられました。しかし、派遣労働者については、労使協定方式との選択式を取り入れいるという整理をしてハードルを下げる一方で、中小企業への経過措置は特段設けないということとなったわけです。

改正条文の附則を読みますと、改正労働者派遣法の中でも一部、平成31(2019)年4月1日に施行される個所があるのですが、そのような細かな点はさておき、同一労働同一賃金にかかわる部分の改正労働者派遣法の施行日は、平成32(2020)年4月1日ということになります。
現時点で出ている資料では、下記リーフレットの1ページに赤字で示されていますので、ご確認ください。

・厚生労働省 「働き方改革関連法が成立しました 正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差が禁止されます!」

【この記事の改正データベース(法改部)はこちら

よみとき帳  小欄は、元号表記を基本としつつ、読みづらいこともあるため西暦を併記している個所もあります。なぜかと言いますと、法令の一次情報である官報は、元号表記であるためで、小欄の記事は、二次・三次情報ではなく、あくまでも一次情報である官報をベースに構成してるからです。例えば「平成32年」などは「ない」わけですが、官報は「ない」ことも踏まえてそのように表記します。最近は役所から出されるリーフレットも西暦ベースになってきていますが、小欄はこのような事情から元号表記を基本としています。逆に少し違和感を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、何卒ご了承ください。


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