年間平均で月変(随時改定)できることとする改正

2018年9月19日 | から管理者 | ファイル: 健康保険法, 厚生年金保険法.
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随時改定により標準報酬月額を改定する場合の方法として、非固定的賃金の年間平均を用いることによって保険者算定を行うことができるようになる改正が、平成30(2018)年10月1日から適用されることとなります。

改正のきっかけとなったあっせん事例

まずは、この改正のきっかけとなった総務省によるあっせん事例をご紹介しておきます。

・総務省行政評価局 「標準報酬の決定における報酬月額の算定の特例の見直し(概要)ー行政苦情救済推進会議の意見を踏まえたあっせん-」

行政相談の概要を示しますと、同僚と比べて月変に該当した自分の保険料が2万円以上高くなってしまったので、不公平だ、このようなことのないようにしてほしい、といった内容です。

実務の現場にいますと、このようなことは日常茶飯事で起こっているわけで、驚くほどありふれており、このような相談に対してずいぶん丁寧に対応されているものだと感じます。このような事例が実際に制度の改正につながって行くことを目の当たりにしますと、日々いろいろと理不尽に感じていることもたくさんあろうかと思いますが、だめもとでもこういった相談をしてみるものだとういことなのでしょう。

改正通知

随時改定の具体的な要件は、法令ではなく通知に定められているため、今回、この通知を一部改正するという形で改正が行われました。その通知はすでに平成30年3月1日付にて発出されています。

「健康保険法及び厚生年金保険法における標準報酬月額の定時決定及び随時改定の取扱いについて」の一部改正について(保発0301第8号 年管発0301第1号)

なお、通知が施行前の半年以上前に発出されるのは比較的早い対応ですが、システム改修に時間を要することが考慮されているものと思われます。

改正の内容

実は、上記通知を読んでもすぐにはよくわからず要件も複雑ですが、端的に言えば、月変に該当したうえで、過去3か月の平均と過去1年間の平均(厳密に言うと年間平均を出すのは非固定的賃金のみ)を比較して、2等級以上の差があるときは、年間平均による標準報酬月額を採用するというものです。この他、例年発生しない一時的な繁忙は該当せず、業務の性質上例年発生することが見込まれることなどの要件もあります。

この間見かけた資料で一番わかりやすいのは、今年の算定の際に配布された「平成30年度版 算定基礎届・月額変更届の手引き」で、日本年金機構から配布されたものであれば、51ページとなりますので、詳しくお知りになりたい方はそちらをご参照ください。

また、上記通知を補うための通知やQ&Aも合わせて発出されています。

「健康保険法及び厚生年金保険法における標準報酬月額の定時決定及び随時改定の取扱いについて」の一部改正に伴う事務処理について(平成30年3月1日 保保発0301第1号 年管管発0301第4号)

「「健康保険法及び厚生年金保険法における標準報酬月額の定時決定及び随時改定の取扱いについて」の一部改正に伴う事務処理について」に関するQ&Aについて(平成30年3月1日 事務連絡)

日本年金機構のWEBサイトでは、下記ページに解説があります。

・日本年金機構 随時改定の際、年間報酬の平均で算定するとき

【この記事の改正データベース(法改部)はこちら


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