「スマホに給与振込」が可能に?

2018年6月22日 | から管理者 | ファイル: 労働基準法.
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給与は銀行口座に振り込まれるもの、と思っている方が、平成も30年が経過した現在においては、多いのではないでしょうか。

労働基準法は賃金の支払いについて、あくまでも通貨(すなわち現金)で支払うのが原則であって、例外的に厚生労働省令で定める場合は、通貨以外のものでもいいですよと定めています。

〇労働基準法
第二十四条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。
(第2項 略)

そして、施行規則において、労働者が指定する銀行口座に振り込むことが認められています。

〇労働基準法施行規則
第七条の二 使用者は、労働者の同意を得た場合には、賃金の支払について次の方法によることができる。
 一 当該労働者が指定する銀行その他の金融機関に対する当該労働者の預金又は貯金への振込み
 (第2号以降 略)

従いまして、現代においても、もし労働者が現金で給与を受け取りたいと申し出たら現金で支払わなければならないのです。

しかし今、会社も労働者も現金での支払いを望んでいないにもかかわらず、現金で支給せざるを得ないケースが少なからず起きており、問題となっています。銀行口座の開設が難しい外国人の場合です。
銀行口座がないということは、労働基準法の原則に戻って、現金で支払うしか今のところない、ということになります。しかし、業種によっては多数の外国人を雇用する企業も多くなっており、現金で給与を用意することは、安全管理の側面や事務の手間も膨大です。

そこで、労働基準法の規制を緩和し、現行認められている銀行口座等以外の口座への賃金支払の導入可能性について検討を行うことが、平成30(2018)年6月14日に開催された第35回国家戦略特別区域諮問会議にて示されました。

・首相官邸 「未来投資戦略2018(仮称)」国家戦略特区関係(案)

こちらの資料の2ページ目の下の方に、

銀行口座の開設が難しい外国人労働者への賃金支払を円滑化する観点から、賃金の確実な支払等の労働者保護に十分留意しつつ、現行認められている銀行口座及び証券総合口座以外の口座への賃金支払(資金移動業者が開設する口座への送金)の導入可能性について検討を行う。

という記載があります。

報道によれば、プリペイドカード機能を持つスマホなどへの支払いを戦略特区に限って可能とすることが想定されているようです。今後、厚生労働省において具体案が検討される予定です。


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