介護休業に絞って話を展開してきましたが、育児・介護休業法には介護休業以外にも介護者が利用できる制度がいくつかあります。
最後に、これら諸制度によって、利用できる事由は異なるのかという点について整理して、このコラムを終えたいと思います。
介護者が利用できる育児・介護休業法の諸制度
ここでは、各制度の内容や取得要件は割愛し、事由だけに焦点を当てました。
制 度 | 事 由 |
介護休業 所定労働時間の免除 時間外労働の制限 深夜業の制限 |
対象家族が要介護状態にあること |
介護休暇 | 要介護状態にある対象家族の介護その他の厚生労働省令で定める世話を行う労働者 |
選択的措置義務(短時間勤務等の中から選択) | 要介護状態にある対象家族を介護する労働者であって介護休業をしていないもの |
介護休暇だけ少し違うということがわかります。
「厚生労働省令で定める世話」とは
介護休暇の取得事由となる「対象家族の介護その他の厚生労働省で定める世話」について、育児・介護休業法施行規則第38条は、次のように言っています。
一 対象家族の介護
二 対象家族の通院等の付添い、対象家族が介護サービスの提供を受けるために必要な手続の代行その他の対象家族の必要な世話
介護休暇は、1日単位又は半日単位で取得できる制度であるため、「対象家族の介護そのもの」だけでなく、他の制度よりも事由が広く定められています。
「厚生労働省 新着情報配信サービス」による連日の周知
厚生労働省からの情報発信として、情報配信サービス・メールマガジン登録というページがあり、この中にいくつか種別がありますが「新着情報配信サービス」に登録しますと、平日は基本的に1日に2通のメールマガジンが届きます。
「新着情報」ですので、毎回基本的には異なる情報が次々に配信されてきますが、この1ヶ月ほど、メルマガの下の方に毎回同じ情報が掲げられています。全文を抜粋します。
【事業主の皆様へ】
●介護休業を利用できる方とは・・・
常時介護が必要な家族を介護している労働者は、介護休業、介護休暇などの制度を利用できます。
「常時介護が必要な状態」の判断にあたっては、下記の判断基準を参照してください。
なお、介護保険の要介護認定の結果通知書や医師の診断書の提出を制度利用の条件とすることはできませんのでご注意ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000355361.pdf
「常時介護が必要な状態」の判断については、やはり、誤解が少なくなく、判断基準の周知を改めて行う必要があったのでしょう。
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