採用の応募に用いられる「履歴書」という帳票は、そもそもその様式の形式が法律的に定められているものではなく、自由な書式です。
文房具店や書店に置いてある履歴書は、多くのものが一定のルールに基づいた形式に則っているように見える一方で、最近では様々なバリエーションも見受けられ、どれを選べばいいのか、どれが正しいとかあるのだろうか、と悩んでしまう経験をしたことがある方も少なくないでしょう。
古くからあるオーソドックスな形式のものは、「JIS様式準拠」などの表記があり、日本産業規格(JIS)による様式例に基づいているものです。
しかし誤解してならないのは、日本産業規格(JIS)が規定しているのはあくまでも「帳票の仕上げ寸法等」であって、個々の帳票の中身までをも規定しているわけではない、ということです。
そしてそもそも、JISが示す規格は、法令で引用された場合は強制力を生じることがありますが、一般的に使用するかどうかは任意です。
JSA(日本規格協会)の対応
しかし一方で、JIS Z 8303『帳票の設計基準』に、あくまでも例として掲げられた履歴書の帳票が、JISに履歴書の様式の中身までもが規定されているとの誤解を招いてしまうという事態があったようです。
令和2(2020)年7月に、要望を受けて様式例そのものを削除したことが公表されました。
※中ほどのWhat’s Newから「もっとみる」をクリックいただき、下記の記事をご覧ください。
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2020/07/17 JIS Z 8303『帳票の設計基準』の解説に掲載されている履歴書の様式例の削除について
背景は、記載があるとおり、性別欄をなくすよう要望があったことに、対応をしたということです。
厚生労働省の対応
JIS規格の解説の様式例において示されていた履歴書の様式例の使用を推奨していた厚生労働省は、
公正な採用選考を進める上で参考となる様式を厚労省において定めることとした。
ということで、令和3(2021)年4月16日に行われた「第163回労働政策審議会職業安定分科会」においてその内容が報告されました。
・厚生労働省 第163回労働政策審議会職業安定分科会資料
※こちらのページの日付が「令和2年」となっていますが、「令和3年」の誤りです。
この中で下記資料の、
3ページにJIS規格の様式例と厚生労働省の様式例の相違点がわかりやすくまとめられています。
厚生労働省としては、あくまでも、
法的拘束力はない。そのため、当該様式の使用は個別の企業が判断可能。
としたうえで、
公正採用選考の周知・啓発は法律に基づくものではなく、企業の理解を得て行っているもの。
という留意点も掲げています。
公表
上記分科会への報告を経て、同日付にて、
・厚生労働省 新たな履歴書の様式例の作成について
が公表されました。
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