罰則を伴う要請・そうでない要請・協力依頼・要請対象外

2021年4月26日 | から管理者 | ファイル: 未分類.
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新型コロナウィルスの感染再拡大に伴い、3回目の緊急事態宣言が発令されました。雇用調整助成金の地域特例に該当するかどうかについて関わってきますので、措置の内容について、東京都を例にとって解説していきます。

・東京都 新型コロナウイルス感染拡大防止のための東京都における緊急事態措置等について(令和3年4月23日発表)

上記ページの下の方に掲げられている下記PDFがわかりやすいと思いますので、こちらを参照していきます。

罰則を伴う要請

6ページに掲げられている飲食店・遊興施設のみが対象となります。ただし、直ちに罰則の対象となるわけではなく、新型インフルエンザ等対策特別措置法第45条第3項にあるとおり、

3 施設管理者等が正当な理由がないのに前項の規定による要請に応じないときは、特定都道府県知事は、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため特に必要があると認めるときに限り、当該施設管理者等に対し、当該要請に係る措置を講ずべきことを命ずることができる。

休業要請に応じない施設管理者に対して命令が出て、それでもその命令に応じない場合に罰則の適用という流れとなっています。

罰則を伴わない要請

このように、法第45条の要請は罰則も視野に入った強力な要請のしくみとなっていますが、もう一つゆるやかな要請のしくみがあります。法第24条第9項による要請です。

9 都道府県対策本部長は、当該都道府県の区域に係る新型インフルエンザ等対策を的確かつ迅速に実施するため必要があると認めるときは、公私の団体又は個人に対し、その区域に係る新型インフルエンザ等対策の実施に関し必要な協力の要請をすることができる。

こちらの条文は漠然としていて、対策の実施のためなら、なんでも必要な協力の要請は行うことができるとも読めます。そのかわり、第45条のような「命令」→「罰則」という構成にはなっていません。
PDFの4ページになりますが、例えば百貨店などの大型商業施設(1,000㎡超)は、このカテゴリーに入っており、飲食店に比べるとゆるやかな要請ということがわかります。
もちろん、このゆるやかな要請に従わないようなケースが多くみられる場合は、第45条によるより強力な要請に移行する可能性もありますが、4月23日の段階では、このような位置づけとなっています。

協力依頼

4ページの「要請内容」のところを見ると、【1,000㎡超の施設】と【1,000㎡以下の施設】とでその内容が若干異なることがわかります。

【1,000㎡超の施設】 ●休業を要請(法第24条第9項)(生活必需物資を除く)

【1,000㎡以下の施設】 休業の協力依頼(生活必需物資を除く)

【1,000㎡超の施設】については明確に法律の根拠条文が示されているのですが、【1,000㎡以下の施設】は条文が示されていません。これは、法律に基づく要請ではなく、単なる「お願い」ということです。
【1,000㎡以下の施設】も一部の業種については、法第45条第2項による強力な要請を行うことができますし、法第24条第9項のゆるやかな要請については業種の制限なく行うことができますが、あえて法律に基づく要請とはなっていません。

要請対象外

参照してきたPDFだけですと、休業要請の対象外となるのはどんな施設なのかがよくわからないのですが、下記資料を読むと、より具体的に確認することができます。

・お問い合わせの多かった主な施設

具体的には5ページから7ページに休業要請対象外の施設がずらりと掲げられていて、意外に多いことがわかります。
例えば、衣料品や靴店、本屋、自転車屋等々が対象外と明記されています。もちろんこれらの業種が百貨店やショッピングモールに入っていて、施設全体が休業となればその方針に従って休業となるケースが多いと思われますが、そうではない路面店や個人店は休業要請対象外となっています。
初回の緊急事態宣言の際に、宣言期間前に眼鏡を購入したが、受け取りに行けなくなってしまったというようなケースも見受けられました。そのようなケースも含め、いろいろと考慮されているのでしょう。

また、前回の緊急事態宣言において、自治体により図書館が閉まってしまうケースがありましたが、8ページにあるとおり、「入場整理の実施の協力を依頼」となっています。

なお、緊急事態宣言を受けた雇用調整助成金の取扱いについては、詳細がまだ公表されていませんが、まん延防止等重点措置との関係も含めた途中経過は下記記事をご参照ください。

5・6月の雇用調整助成金の動向についての途中経過


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