【続】5・6月の雇用調整助成金の動向についての途中経過

2021年5月1日 | から管理者 | ファイル: 雇用保険法.
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5・6月の雇用調整助成金の動向について、令和3(2021)年4月30日に、二つのことが同時に起こりました。

A 雇用保険法施行規則の改正

B 厚生労働省によるさらなる改正が必要である旨の公表

雇用保険法施行規則の改正

雇用調整助成金の特例については、法令上(雇用保険法施行規則上)、4月30日までが期限となっていましたので、施行規則の改正が行われない限り、その特例が終了してしまうわけですが、その期限日である4月30日ぎりぎりとなってまずはAの雇用保険法施行規則の改正が行われました。

とは言え、この施行規則の改正の内容は、すでに厚生労働省から公表されていたとおりのものですので、形式上、改正省令の公布がぎりぎりとなってしまっただけとも受け止められます。
その内容については、小欄、令和3年4月23日付の下記記事をご参照ください。

5・6月の雇用調整助成金の動向についての途中経過

さて、この記事の中で筆者は、後段の部分「緊急事態宣言との関連」の項のところで、

緊急事態宣言の発令を踏まえて必要な修正が行われたうえで、来週中に改正省令が公布されることになるでしょう。

と記載しましたが、「緊急事態宣言の発令を踏まえた必要な修正」はなされないまま、

・特例の措置期間を6月30日まで延長する
・特例のうち原則的な措置について、1日の支給上限額を13,500円に引き下げる
・地域特例を中小企業にも拡大し、この特例に該当する企業については1日の支給上限額を15,000円のまま維持などする
・業況特例を中小企業にも拡大し、この特例に該当する企業については1日の支給上限額を15,000円のまま維持などする
・地域特例の対象は、まん延防止等重点措置の適用区域とする

といったすでに公表されていた内容に基づいて、改正が行われました。

厚生労働省によるさらなる改正が必要である旨の公表

まん延防止重点措置の適用区域が地域特例の対象となるのに、緊急事態宣言の適用地域がそうならないわけはない、のですが、3回目となった緊急事態宣言が公示されたのが4月23日、適用されたのは4月25日だったため、それまで進められてきた省令改正には諸々間に合わなかったということなのだと思います。

そこで、厚生労働省は同日付にて、下記の周知を行いました。

・厚生労働省 緊急事態宣言を受けた雇用調整助成金の特例措置等の対応について

その内容は、地域特例の対象が、4月30日に改正された施行規則においては、まん延防止等重点措置の適用区域のみとなっているところ、緊急事態措置の適用区域も加える、というものです。
厚生労働省としてはあくまでも、

以下は、事業主の皆様に政府としての方針を表明したものです。施行にあたっては厚生労働省令の改正等が必要であり、現時点での予定となります。

という慎重な言い回しをしていますが、緊急事態宣言の適用地域が対象にならないはずはないため、決定事項の正式な反映が間に合わなかったことのお知らせという雰囲気も漂っています。

なお、公布された下記改正施行規則は、

・令和3年4月30日付官報 雇用保険法施行規則の一部を改正する省令

複雑すぎて読むことをまったくおすすめしませんが、一見、緊急事態宣言の対象区域も対象になっているような感じもします。
しかし、附則第15条の4の3第11項には、

令和3年1月7日にされたものに限る。

という限定があえてされていますので、4月に始まった3回目の緊急事態宣言は対象となっていないことがわかります。

 


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