中途採用に関する情報公表義務についての省令が公布

2021年1月4日 | から管理者 | ファイル: 労働施策総合推進法.
Pocket

あけましておめでとうございます。
本年も労働・社会保険分野の法改正について、ていねいに書いてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

中途採用の促進と情報公開に関する検討

国として中途採用を促進する方向性が示されたのは、令和元(2019)年6月に閣議決定された成長戦略実行計画などにおいてでした。
人生100年時代を踏まえた雇用制度改革の中で、とくに大企業に伝統的に残る新卒一括採用中心の採用制度の見直しとともに、中途採用の拡大を図る必要がある、というものです。

企業側においては、採用制度や評価制度の見直しに取り組む必要があるとされるとともに、政府として、個々の大企業に対し、中途採用比率の情報公開を求める方針が示されたのでした。

その後、労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会において検討が行われ、中小企業の中途採用はすでに活発であることや中小企業への負担を踏まえ、労働者数301人以上の大企業について、中途採用者の比率を定期的に公表しなければならないとする改正内容が示されました。

例の「ちゃんこ鍋」に入れられる

この改正内容が入った法律は「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実に関する法律」(※1)です。旧名称は雇用対策法というもので、最近ではパワハラ防止対策の義務化が盛り込まれた法律で、他の法律に入れることができない課題や施策が入ってくる、いわばちゃんこ鍋のようなごった煮状態となっている法律です。

上記法律の改正は、他の法律の改正とともに一括された「雇用保険法等の一部を改正する法律」(※2)の中に含められ、令和2(2020)年3月31日に可決、成立し、同日付で公布されました。

※1 改正内容が盛り込まれた第27条の2は、まだ施行日を迎えていないため、リンク先のe-gov法令検索には、執筆時点では入っていません。

※2 「65歳以降の就業確保措置の努力義務化」や「副業者の労災保険の改正」など様々な改正内容が盛り込まれた改正法。

省令の公布

法律には、労働者数301人以上の企業について、中途採用者の比率を定期的に公表しなければならないということだけが書かれていたため、公表の具体的な方法などが引き続き基本問題部会において検討されてきましたが、その内容が盛り込まれたが改正省令が昨年末最終日の令和2年12月28日に公布されました。

・令和2年12月28日付官報 「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律施行規則の一部を改正する省令」

省令の内容については、追って取り上げたいと思います。

施行日

施行日は、改正法の公布から1年の周知期間が置かれ、令和3(2021)年4月1日です。

 

この改正のアーカイブはこちら

 


タグ:

コメントは締め切りました。