外国人を雇用した際の雇用状況の届出について改正がありました。
・厚生労働省 「令和2年3月から外国人雇用状況の届出において、在留カード番号の記載が必要となります。」
これまで記載すべきとされていた事項のほか「在留カード番号」の記載が必要となる改正です。
ただこれだけの改正ではあるのですが、実際の届出となると若干複雑な事情となってしまっているようです。
雇用保険被保険者でない場合
こちらの場合がわかりやすく、単純に記載すべき様式が変更となるというものです。
厚生労働省の上記リーフレットの2ページ目に様式例が掲げられているとおり、様式の中段あたりに12ケタの在留カード番号を記載すべき欄が設けられました。
改正後はこの様式を使用すればよいこととなります。
この件については、昨年下記官報にて改正省令が公布されていましたので、ご興味のある方はこちらもご参照ください。
・令和元(2019)年9月19日付官報 「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律施行規則の一部を改正する省令」
外国人雇用状況届出の根拠法は、労働施策総合推進法(旧雇用対策法)であるということです。
雇用保険被保険者の場合
一方で、雇用保険被保険者の場合は、労働施策総合推進法(施行規則)に定められた様式によらずに、雇用保険資格取得届(及び雇用保険資格喪失届)に同様の内容を記載することによって届出を行うことができるとされています。
したがいまして、昨年9月に労働施策総合推進法施行規則の改正が行われた時点では、同様の改正が雇用保険施行規則にもなされて、雇用保険資格取得届(及び雇用保険資格喪失届)の様式が改正され、在留カード番号を記載する欄が設けられることが期待されていました。
しかし、上記リーフレットには驚くべき内容が記載されていて、在留カード番号を記載する別の様式が設けられるということになっています。
これは企業実務にとって非常に煩雑なことですし、昨今叫ばれている行政手続デジタル化の3原則と逆方向に向かっているようにも見えます。
また、外国人の場合は、マイナンバー・在留カード番号・雇用保険被保険者番号という3つの番号を記載しなければならなくなるという、何とも言えない事態が発生することとなります。
不思議な改正①
なんでこんなことになってしまうのか、という問いを想定されているようで、リーフレットには下記のような表現が見受けられます。
別様式での届け出は、雇用保険被保険者資格取得届および資格喪失届が、様式改正(在留カード番号記載欄が追加)されるまでの暫定運用となります。様式の改正は、令和2年度中を予定しています。
しかし、労働施策総合推進法施行規則に基づく、雇用保険被保険者でない場合の様式が施行の約半年前に公布され、周知期間をきちんとおいて準備されていることからすると、雇用保険被保険者資格取得届および資格喪失届の改正も間に合わないはずがなかったのでは、という気がします。
なぜ、こんなことが起こっているのでしょうか。実は雇用保険制度にまつわる様式の改正はこの件だけでなく不思議な改正が他にも起こっています。この点については別に取り上げます。
施行日
令和2(2020)年3月1日施行です。
経過措置
新様式は、令和2年3月1日以降に雇入れ、または離職をした外国人が対象となります。
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