介護休暇・子の看護休暇が時間単位で取得可能となる改正③

2020年2月28日 | から管理者 | ファイル: 育児介護休業法.
Pocket

介護休暇・子の看護休暇の時間単位取得を可能とする育児・介護休業法施行規則等の改正内容を3回に分けて解説しています。

時間単位の「時間」とは

1時間の整数倍の時間をいいます。
「1時間」「5時間」など労働者が希望した時間数を取得できるようにする必要があります。

「中抜け」なしでもよい

法令上求められているのは「始業の時刻から連続」または「就業の時刻まで連続」する制度であって、就業時間の途中で休暇を取得し、就業時刻の途中に再び戻る、いわゆる「中抜け」ありの制度を導入することは求められていません。
あくまでも任意の制度としてではありますが、指針(※)において、「中抜け」ありの休暇取得を認める配慮をすること、という記載も見受けられます。

子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針の一部を改正する件

端数の切り上げ

この点を考慮しなければならないのは、所定労働時間が法定の8時間より短い企業の場合です。所定労働時間が8時間の企業にとっては直接関係のない内容ですので、この項は読み飛ばしていただいてかまいません。
例えば所定労働時間が7時間30分の場合で考えてみましょう。

申出の内容 取得できる時間 残り取得可能な日・時間
1日単位 1日取得の申出 7時間30分 4日
時間単位 7時間の申出 7時間 4日+1時間

7時間休んで残り30分だけ出勤するというケースはあまりないと思いますが、3時間1回と4時間1回で7時間となった方は、端数を切り上げるというルールになっていますので、1時間が取得可能な時間としてなお残る、というカウントになります。
時間単位のカウント方法は1日単位と異なり、1時間の整数倍の取得時間が8時間分になったときに1日分になるというわけです。ちょっと不思議な感じもしますが、Q&A(下記、問1―4)ではこのように従業員の不利にならないような取扱いとしなければならないとされています。

・厚生労働省 「子の看護休暇・介護休暇の時間単位での取得に関するQ&A」

回数のカウントと勤怠処理のずれが生じるケース

介護休暇・子の看護休暇は、無給、すなわち不就労分を控除してよいわけですが、そうであるがゆえに悩ましい問題が生じます。
Q&A(問1―7)に、下記のような表現があります。

○ なお、労働者が例えば 16 時 45 分から 17 時 45 分までの1時間の看護・介護休暇の取得の申出をし、実際には 17 時から 17 時 45 分までのように1時間に満たない時間を休んだとしても、当該労働者は1時間の看護・介護休暇を取得したものとして処理して差し支えない。
○ ただし、労働者が休んだ時間分の賃金を控除する場合には、実際に休んだ時間を超えて控除してはならない。

すなわち、介護休暇・子の看護休暇のカウントと勤怠の処理はあくまでも別のものとしてとらえ、処理しなければならないということです。

勤怠システム

さて、では以上のようにやや難解なしくみをどのように管理していけばいいのでしょうか。
勤怠システムに時間単位の休暇という概念を入れて処理することが理想ですが、時間外労働の上限規制への対応をようやく済ませたばかりという企業も少なくないでしょう。

すでに例えば、法定の年次有給休暇について時間単位取得を可能としていて、その処理がシステム化できている企業にとっては対応しやすいかもしれませんが、そのような企業は多くはないと思われます。

法律改正と異なり、省令改正はあまり周知期間が置かれることなく、公布後すぐに施行されることが多いですが、このようにシステム対応に時間がかかるということで、約1年間の周知期間が置かれています。

(おわり)

【この記事の改正データベース(法改部)はこちら


タグ:

コメントは締め切りました。