育児・介護休業法上の要介護状態とは何か①

2019年8月27日 | から管理者 | ファイル: 育児介護休業法.
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政府は「介護離職ゼロ」と銘打って、様々な施策を進めています。先般公表された『規制改革実施計画』でも、今のところ半日単位が義務化されている介護休暇の時間単位取得を可能するための法整備をするという方針が示されましたが、これも施策の一環です。

従業員の家族が要介護状態となり、その家族を介護する必要な状況となったときに、働きながら介護を行うことを可能とするための様々な選択肢が育児・介護休業法に定められています。一番代表的な制度は介護休業ですが、これ以外にも、介護休暇、介護のための所定時間外労働の免除、介護のための時間外労働の制限などが義務化されています。
介護短時間勤務制度は、育児短時間勤務が義務化されているのとは異なり必ずしも義務ではなく、始業・終業時間の繰上げ・繰下げ制度などの中から選択的して導入する選択的措置義務とされています。

それぞれの制度の詳細を確認されたい方は、下記厚生労働省のWebサイトをご参照ください。

厚生労働省 「育児・介護休業法のあらまし」

要介護状態の定義

さて、家族が要介護状態になる、と一言でいっても、もちろんわかりやすいケースもありますが、今の状態が要介護状態と言えるのかわからない微妙なケースも存在します。
法律は、要介護状態をどのように定義しているのでしょうか。
育児休業法は、第2条第3号で要介護状態を次のように定義しています。

三 要介護状態 負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、厚生労働省令で定める期間にわたり常時介護を必要とする状態をいう。

期間については省令に委任するとしつつ、「常時介護を必要とする状態」と言っているだけで、あまり明快な説明にはなっていません。そして施行規則を見ると、期間を2週間以上と定義しているだけで、その他の詳細な説明はありません。

第二条 法第二条第三号の厚生労働省令で定める期間は、二週間以上の期間とする。

では、これ以上の説明がどこにあるかというと、通達を探すことになります。通達「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の施行について」(平成28年8月2日 職発 0802第1号雇児発0802第3号)は、「第1 総則」-「2 定義」にて、次のように定義しています(4ページ)。

(3) 要介護状態(法第2条第3号) 負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、厚生労働省令で定める期間にわたり常時介護を必要とする状態をいうものとすること。なお、これは介護保険制度における「要介護状態」と必ずしも一致するものではないこと。
イ 「負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害」とは、負傷又は疾病による場合、負傷又は疾病にかかり治った後障害が残った場合及び先天的に障害を有する場合を含むこと。 乳幼児の通常の成育過程において日常生活上必要な便宜を供与する必要がある場合についてはこれに該当しないが、老齢により身体機能が相当程度低下した場合はこれに該当するものであること。
ロ 「厚生労働省令で定める期間」については、介護休業の制度の目的が家族を介護する労働者の雇用の継続を図るものであることにかんがみ、常時介護を要する状態が一時的な、日常的にかかり得る傷病による場合を除く趣旨から、「常時介護を必要とする状態が2週間以上の期間にわたり継続すること」を要件としたものであること(則第2条)。
ハ 「常時介護を必要とする状態」とは、常態的に介護を必要とする状態をいい、 この状態に関する判断については、別添1の判断基準によるものとすること。

次回詳しく見ていきますが、まず重要なのは、総論として、育児・介護休業法上の要介護状態は、

介護保険制度における「要介護状態」と必ずしも一致するものではないこと。

と言っていることです。

よくある勘違いとして、対象となる家族が介護保険法上の「要介護状態」の認定を受けていないと介護休業等を取得できない、というものがありますが、これは誤解であって、要介護状態になっていない家族であっても介護休業等を取得できる、すなわち、従業員から介護休業の申請があったら、事業主は拒むことができないケースがあるということです。


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