「高度プロフェッショナル制度」関係の改正省令等が公布されました

2019年3月27日 | から管理者 | ファイル: 働き方改革関連法, 労働基準法.
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働き方改革関連法の第一弾の施行日である平成31(2019)年4月1日を直前に控え、この間保留となっていた標記の件がようやく公布されました。
年明けの1月の時点で本件改正省令に関する公聴会が行われる予定でしたが、突然延期となり、2か月ほど経過した3月18日に当該公聴会が開かれ、何とかぎりぎり間に合ったという印象です。

一つの法律改正について、施行日が異なるために関連する改正省令等がわかれるということはよくあることですが、施行日が同じなのにわかれるということはめずらしいことです。労働時間の上限規制や年次有給休暇の取得義務など罰則つきで新たに義務化される改正項目を優先的に議論を進めるという方針に基づいたものですが、このことにより、細かな部分でいろいろとややこしいことになっていまいました。

公布された省令など

平成31年3月25日付号外第58号にて公布されたものは、下記のとおりです。

労働基準法施行規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令

労働基準法第四十一条の二第一項の規定により同項第一号の業務に従事する労働者の適正な労働条件の確保を図るための指針

関連する通達など

これらの他にも厚生労働省の働き方改革特集サイトには関連する下記通達等がアップされました。

・通達 基発0325第1号 「労働基準法の施行について(新労基法第41条の2及び新安衛法第66条の8の4関係)」

上記サイトは非常に情報量の多いものとなっていますが、一番下の方まで行くと「働き方改革関連法に関する相談窓口」とは別に「高度プロフェッショナル制度に関する専用相談窓口」が設けられたことがわかります。

今後、高度プロフェッショナル制度に関するパンフレットなども掲げられるものと思われます。

なお、応援団長が必要かどうかはわかりませんが、サッカー解説で有名な松木安太郎さんが働き方改革の応援団長に選任されたようです。

「応援します!あなたの会社の働き方改革!」

対象業務

さて、高度プロフェッショナル制度の対象業務は、当初の予定通り、下記の5つの業務が示されました。

① 金融商品の開発業務
② 金融商品のディーリング業務
③ アナリストの業務(企業・市場等の高度な分析業務)
④ コンサルタントの業務(事業・業務の企画運営に関する高度な考案又は助言の業務)
⑤ 研究開発業務

その定義や、対象となり得る業務・対象となり得ない業務の例は、上記指針にかなり詳細に示されています(官報でいうと109~111ページのあたり)。

なお⑤のいわゆる「研究開発業務」ですが、施行規則第34条の2第3項第5号の表現は下記のとおりとなっており、

新たな技術、商品又は役務の研究開発の業務

法第36条第11項により労働時間の上限規制を適用除外された下記業務と比べてほぼ同じということがわかります。

新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務

解釈通知によれば(7ページ問14)、

法第 36 条第 11 項に規定する「新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務」は、専門的、科学的な知識、技術を有する者が従事する新技術、新商品等の研究開発の業務をいい、既存の商品やサービスにとどまるものや、商品を専ら製造する業務などはここに含まれないこと。

と定義され、わりとあっさりとした説明ですが、一方で高プロの対象となる業務の定義は例示も含めてかなり詳細なものとなっています。長くなるためこちらの引用は避けますが、法令上の表現は(ほぼ)同じなのに、その定義や範囲は異なるということが起きているので注意が必要です。

施行日

平成31年4月1日です。

【この記事の改正データベース(法改部)はこちら


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