裁量労働制違反についての企業名公表制度

2019年1月28日 | から管理者 | ファイル: 労働基準法.
Pocket

裁量労働制違法適用した企業について、厚生労働省が社名公表する制度を新設する方針であることが年明けから報じられていましたが、この度、その詳細が正式に公表されました。

・厚生労働省 「裁量労働制の不適正な運用が認められた企業への指導及び公表について」

以前、厚生労働省が某大手企業に対して裁量労働制の適用について特別指導を行った際、明確な公表基準がないにもかかわらず社名を公表したことが背景にあり、統一した基準が示されることとなりました。

まず、対象として中小企業は除かれ、複数の事業場を有する社会的に影響力の大きい企業が対象とされました。そして、下記すべてに該当するような不適正な運用実態が認められた場合となります。

ア 裁量労働制の対象労働者の概ね3分の2以上について、対象業務に該当しない業務に従事していること。
イ 上記アに該当する労働者の概ね半数以上について、労働基準法第32・40条(労働時間)、35条(休日労働)又は37条(割増賃金)の違反(以下「労働時間関係違反」という。)が認められること。
ウ 上記イに該当する労働者の1人以上について、1か月当たり100時間以上の時間外・休日労働が認められること。

行政による企業名公表とは、やはりこのようにかなり悪質なケースとなりますが、最近は、従来のマスコミだけでなく、インターネットやSNSによって情報が広がることの方が当該企業に影響が大きい傾向があります。

基準が厳しすぎて意味がないとか、該当するおそれがないから気にしなくていいとかいうことはいささかナンセンスで、恣意的な運用を防ぐための基準が定められたということに意義があるということなのでしょう。


コメントは締め切りました。