働き方改革法関連のQ&Aを含む通知が発出されました

2019年1月17日 | から管理者 | ファイル: 働き方改革関連法, 労働基準法, 労働安全衛生法.
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働き方改革関連法についてのさらなる詳しい情報が昨年末に公表されました。厚生労働省の下記ページに集約されています。

・厚生労働省 「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」について

解釈通知

Q&A形式の解釈通知は、労働基準法に関するものと労働安全衛生法に関するものとが出ました。

基発1228第15号(労働基準法の解釈について)

まず、いわゆる研究開発業務の定義についての説明が示されています(7ページ、問14)。特段目新しい内容が示されたわけではありませんが、多くの企業にかかわる解釈と思われますので、確認をしておいた方がよいでしょう。

この他、労働条件の明示の方法について、労働者が希望した場合には、書面による交付以外にFAXや電子メールによる方法でもよいこととなる改正について、その詳細の解説が14ページ以降になされています。「電子メール」の定義ですとか、SNSはどうなのか、といった細かな点についての解説もあります。

・基発1228第16号(労働安全衛生法の解釈について)

こちらについては「労働時間の状況の把握」の具体的方法などに関する説明がQ&A形式で含まれている、という点を触れておかなければなりません。
労働基準法ではなく労働安全衛生法に、管理監督者を含めたすべての労働者(高度プロフェッショナル制適用者を除く)の「労働時間の状況の把握」義務が課される条文が加わった改正ですが、その具体的な内容については「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を参考に、追って通知する予定である、とされていました。
イメージとしては、このガイドラインと同様に、他の項目とは独立した「労働時間の状況の把握のためのガイドライン」的なものが作られるのかなと想像していましたが、そうではなく、基発1228第16号の中の一項目としてQ&A形式で示されたということです。
中身を比較してみますと、細かい文言など異なる部分もあるものの、たしかに「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」の内容を踏襲しているのですが、一番気をつけなければならない点は、「労働時間の把握」と「労働時間の状況の把握」は微妙に異なる、という点です。詳しくお知りになりたい方は、8ページの問8をご参照ください。

画期的な「わかりやすい解説」シリーズ

さて、これら以外にも特筆すべきは「わかりやすい解説」シリーズ(リーフレット)が公表されたことです。「時間外労働の上限規制」編と「年5日の年次有給休暇の確実な取得」編とがあります。自ら「わかりやすい」と名乗るとは大胆なネーミングでなかなか勇気がいりそうですが、それぞれ見ていきましょう。

時間外労働の上限規制 わかりやすい解説

まず、施行日に影響のある中小企業の定義について、詳細な説明がなされています。5ページに、日本標準産業分類も含めた詳細な整理表、19ページには「常時使用」の定義や、出向・派遣などの取扱いの説明があります。中小企業に該当するか否かが微妙な企業は、必見です。

この他、7ページのコラムや21ページのQ8は、これまでの行政が出す資料にはあまりなかった発想のものが示されていて、そういう意味ではたしかに「わかりやすい」ものになっているのではないかと思います。
7ページのコラムの「所定」と「法定」の違い、は、これまで行政側からすれば基本的には「法定」の世界しか語らないことが多かったわけですが、それだけでは説明が足らないことが多いという観点に立ったものであり、企業側の立場に立った説明になっていると思います。21ページのQ8も素朴な質問ではありますが、同様であると言えるでしょう。

このリーフレットの真骨頂は、16ページから18ページの「労働時間管理の実務のイメージ」の項で、まずはここだけ最低限読めばよい、という内容になっていますが、ここだけでも(覚悟はしていたものの)その重層的な構造の改正内容に気が遠くなる感じがするかもしれません。すでにおおむね理解している方は内容確認のため、まだほとんど理解できていない方もまずはここから、覚悟のうえで読み進めることをおすすめします。

年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説

まず、こちらだけでも上限規制と同様に24ページにも及ぶ量、大作となっています。
こちらも、11ページからの「実務対応編」が親切な内容になっています。行政みずからが、一斉付与や基準日統一を提案していることは画期的と言えるでしょう。この他「ブリッジホリデー」などあまり聞いたことのない概念も駆使し、様々な選択肢を示しているのは、参考にはなります。とにかく罰則が気になる、という方は、21ページからチェックしてみてください。

さて、これにて働き方改革法関連の情報は出そろった感がありますが、下記のとおり実はまだ出ていないものがあります。

①高度プロフェッショナル制の詳細を定める改正省令、これに関連する通達
②「事業場における心身の状態の情報の適正な取り扱いのための取扱規程」のひな形

①は、その改正内容を含む「労働基準法施行規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱」に関する公聴会が平成31(2019)年1月8日に開催され、公布へと運んでいくはずでしたが、延期されたままで凍結されている状況です(1/17現在)。

・厚生労働省 労働基準法第113条の規定による公聴会の開催を延期します

②は、労働安全衛生法の改正により公示された「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針」に基づき、企業が取扱規程を定める場合に参考となるモデル規程のことですが、3月頃に公表される予定のようです。


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