平成30(2018)年の官庁の仕事納めとなった12月28日付の官報に重要な改正項目がいくつか公布されました。
働き方改革法のうち「同一労働同一賃金」にまつわる改正省令や告示(「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針」(いわゆる「同一労働同一賃金ガイドライン」のこと)を含む)が大きなものですが、こちらは追って取り上げるとして、本日は、小欄で随時取り上げている大企業等の電子申請義務化に関連する改正省令が公布された件を取り上げさせていただきます。
平成30年12月28日号外第291号にて公布された健康保険法施行規則及び厚生年金保険法施行規則の一部を改正する省令には、電子申請義務化以外の改正項目も含まれますがこれらについては追って取り上げるとして、今回公布された内容は、電子申請義務化のうち、文字どおり社会保険(健康保険・厚生年金保険)にかかわる手続についての改正内容です。
なお、社会保険以外にも労働保険・雇用保険についての電子申請義務化の検討が進行していますが、これらの経緯については、小欄の昨年末の下記記事をご参照ください。
・平成30(2018)年12月28日 「電子申請が義務化(大企業等)される改正について対象手続に追加があることが判明」
本題に戻って、改正内容を整理していきます。
電子申請義務化の対象となる法人(=特定法人)
電子申請義務化の対象となる法人は、下表のとおりとなります。いわゆる大企業だけが対象ではないところに注意が必要です。
資本金、出資金の額又は銀行等保有株式取得機構に納付する拠出金の額が1億円を超える法人 |
保険業法第2条第5項に規定する相互会社 |
投資信託及び投資法人に関する法律第2条第 12 項に規定する投資法人 |
資産の流動化に関する法律第2条第3項に規定する特定目的会社 |
なお、赤字で示してありますが、パブリックコメントの時点では「1億円以上」という表記であったところ「誤りであったため、修正しております」との説明が、結果概要でなされています。すなわち、出資金等が1億円の法人は対象にならないということです。
税務手続においても同様に電子申告の義務化が進められており、その対象となる法人の範囲を合わせなければならないため、単純な誤りと思われます。なお、税務に関する動向の詳細は下記をご参照ください。
※このページの下の方にある「電子申告の義務化の対象法人一覧表」がわかりやすくまとめられています。
電子申請義務化の対象となる手続
電子申請義務化の対象となる手続は、下表の三手続です。
・算定基礎届
・月額変更届
・賞与支払届
電子申請でなくてもよい場合
下記の理由により電子申請が困難であると認められる場合は、電子申請によらなくてもよいとされています。
・電気通信回線の故障、災害
・その他の理由(=加入している健保組合が電子申請による届出を受け付けることができる体制が整わない場合を含む)
施行日と経過措置
施行日は、平成32(2020)年4月1日です。平成32(2020)年4月1日以降に開始する事業年度以降の手続が対象となります。
【この記事の改正データベース(法改部)はこちら】
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