平成31年4月1日施行 労働安全衛生法の改正について①

2019年1月8日 | から管理者 | ファイル: 働き方改革関連法, 労働安全衛生法.
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働き方改革法は8本に及ぶ法律の改正で、多岐にわたる改正内容が含まれています。労働時間の上限規制をはじめとした労働基準法の改正や同一労働同一賃金にまつわる改正は報道などでも大きく報じられていますが、それ以外の項目については、重要な内容も含まれているもののなかなか報じられることも多くなく、その対応どころか内容の把握も追いついていない企業が多いのではないでしょうか。

労働安全衛生法も改正が行われますが、細かい内容も含めるとこれだけでも多岐にわたっているため、何回かに分けてその内容をご紹介していきたいと思います。

改正の概要とカテゴリー

まずは、主な改正のカテゴリー分けとその概要です。

①産業医に関する改正
②産業保健機能の強化
③長時間労働者への面接指導
④労働時間の状況の把握義務
⑤労働者の健康情報の取扱い

カテゴリーについては、いろいろな分け方があるかと思いますが、当局から出ている資料などでは、①と②とをまとめて「産業医・産業保健機能の強化」としている向きもあるようです。
しかしながら、これらを一緒くたにしてしまうと、産業医の選任義務がない労働者50人未満の企業には関係ない項目なのかな?と勘違いしてしまうおそれもありますので、純粋に産業医のみにかかわる部分を①とし、労働者50人未満の企業にも影響のある改正項目が含まれる②は別カテゴリーとして把握したほうが理解しやすいと考えました。

③は④とは密接にかかわってくる、すなわち「長時間労働者への面接指導」を適切に行うために「労働時間の状況」をきちんと把握せよ、という関係性にあるのですが、それぞれ細かい内容が含まれているため、別に把握したほうがよさそうです。

④の「労働時間の状況の把握義務」は、労働安全衛生法の改正項目の中でも、比較的報じられている方ではないかと思います。管理職も含めてすべての労働者の労働時間の把握が、労働基準法ではなく労働安全衛生法に定められた、というものです。

⑤の「労働者の健康情報の取扱い」は、広くとらえれば「産業保健機能の強化」のカテゴリーに入ってくる項目ですが、その細かな内容は多岐にわたり、個人情報保護法などとのからみも出てくる分野となりますので、別カテゴリーとした方がよいでしょう。

また、法令では「労働者の心身の状態に関する情報の取扱い」が正式な表記ですが、冗長ですし、すっと頭に入ってこないおそれがありますので、小欄では引用部分などを除き「健康情報」という表記を使用してまいります。

施行日

労働安全衛生法の改正の施行日は、すべて、平成31(2019)年4月1日です。中小企業に対する経過措置はありません。「労働時間の把握義務」も含め、すべての企業が平成31年4月1日から適用となりますので、注意が必要です。

それでは、次回以降、具体的な内容に入っていきます。


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