働き方改革法のうち改正労働基準法の第一弾の施行日まで5か月を切ることとなり、来年の4月1日に適用となる企業にとっては、そろそろ準備を始めて行かねばならない時期に差し掛かっているかもしれません。
時間外労働の上限規制の導入に伴い、各企業にて時間外労働の削減の方策を検討したうえで、その結果を最終的に36協定という様式に落とし込んで届出を行うこととなるわけですが、その36協定の様式に大幅な改正が加えられることはすでに周知がなされ、浸透してきたようにも思えます。
新様式
新しい様式は、厚生労働省の下記ページの一番下に存在しますので、ご参照いただきたいのですが、やや不親切な様相を呈しているので以下説明を加えさせていただます。
・厚生労働省 「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」について
「様式」と題して「WORD形式のファイルでもダウンロードいただけます。」というところまではいいのですが、その下に様式がずらりと並んでいて、いったいどれを使えばいいのか立ち尽くしてしまう感がしますので、下表のとおり整理しました。
新様式 | |
様式第9号 | 一般(特別条項が必要ない場合) |
様式第9号の2 | 一般(特別条項が必要な場合) |
様式第9号の3 | 「新技術・新商品等の研究開発業務」用 |
様式第9号の4 | 「自動車運転の業務」「建設の業務」「医師」「鹿児島県・沖縄県の砂糖製造業」用 |
様式第9号の5 | 様式第9号の4の業務で、事業場外労働に関する協定の内容を付記する場合 |
様式第9号の6 | 様式第9号の4の業務で、労使委員会による決議を届け出る場合 |
様式第9号の7 | 様式第9号の4の業務で、労働時間等設定改善委員会による決議を届け出る場合 |
現行の様式
表に整理してもなおわかりにくいかもしれませんので、現行の様式がどうなっているかも一応、整理しておきます。
現行の様式 | |
様式第9号 | 一般 |
様式第9号の2 | 事業場外労働に関する協定の内容を付記する場合 |
様式第9号の3 | 労使委員会による決議を届け出る場合 |
様式第9号の4 | 労働時間等設定改善委員会による決議を届け出る場合 |
一般的な場合のほか、特殊な3パターンが用意されています。
違い
まず、大きなところとして、特別条項が必要ない場合(=新様式第9号)と必要な場合(=新様式第9号の2)とに分かれました。
この他、上限規制が適用されない業務用(=新様式第9号の3)と上限規制の適用が猶予(施行後5年間)される業務用(=新様式第9号の4)とに分かれました。
そして、現行の様式第9号の2・3・4はそれぞれ、新様式第9号の5・6・7に相当することになるわけですが、注意が必要なのが新様式では「様式第9号の4の業務で、」という注釈がついているところです。これらの業務は5年後には上限規制が適用されて、新様式第9号の4そのものがなくなるということなのでしょう。これに付随した形で特殊な3パターンが経過的に残りますが、上限規制が適用された時点で一緒になくなる、ということなのだと思います。
それでは、一般の場合や「新技術・新商品等の研究開発業務」の場合に、特殊な3パターンに該当するときはどうなるの?との疑問がわいてきますが、これらには今のような別様式は用意されない、ということになります。
特殊な3パターンに該当する方はご確認いただきたいのですが、様式の裏面となる「記載心得」の備考のところに、詳細な説明が記載されています。要は、かっこ書きしたり、付記したり、別紙を用意したり、読み替えたりして、なんとかうまくやろう、という趣旨のことが書かれています。
なるほどいろいろと苦心されて再構成されたのだなという労苦が伝わってきますが、特殊な3パターンに該当する場合は全体から見ると少数と思われ、冒頭でご紹介したページの上の方にある「各種リーフレット」のところの記載例には、新様式第9号と様式第9号の2のみが掲げられています。整理するまででもないですが、下表のとおりです。
36協定記載例(一般条項) | 様式第9号 |
36協定記載例(特別条項) | 様式第9号の2 |
なお、様式集のところの冒頭の「様式第3号の3」は、フレックスタイム関連の新しい様式(清算期間が1か月を超える場合の届出)です。
追伸(平成30(2018)年11月14日)
ご案内した上記厚生労働省のページですが、その後、様式の番号だけでなく、それぞれの説明が付記されるように更新されています。
【この記事の改正データベース(法改部)はこちら】
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