平成31年4月1日から使用される36協定の様式案が公開されました

2018年8月20日 | から管理者 | ファイル: 働き方改革関連法, 労働基準法.
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36協定の新様式案が公開

平成31(2019)年4月1日から施行される、新しい36協定(時間外労働・休日労働に関する協定届)の様式案が、平成30年8月9日に行われた第145回労働政策審議会労働条件分科会において公開されました。

これまでとの大きな違いは、今までは特別条項を一般条項の様式に付記したり、別紙として添付する形式でしたが、一般条項用と特別条項用の様式とに分かれることとなります。

詳しくお知りになりたい方は、上記分科会の資料として公開されている実際の様式案をご覧ください。
資料No.2-1…特別条項がない場合の様式
資料No.2-2…特別条項がある場合の様式

特別条項がない場合の様式

特別条項がない場合の様式は、これまでと大きな変更があるわけではありませんが、下記のような変更があります。
・労働保険番号や法人番号の記載欄が追加
…いずれか、というわけにはいかないのでしょうか?
・「所定労働時間を超える時間数」欄が追加
…所定労働時間を超える時間数で協定している企業にとっては、どう書いていいかわからないといった混乱が一部あったため、これは朗報でしょう。
・「時間外労働及び休日労働を合算した時間数…のチェックボックス」欄が追加
…特別条項が必要ない企業にとっても、休日労働と合算した際の実際の時間数が、1か月100時間以上・2か月から6か月までの平均が80時間超とならないよう留意が必要となります。

特別条項がある場合の様式

一般条項用と特別条項用の様式に分かれ、それぞれ書き分ける必要があります。一般条項用の様式は、上記「特別条項がない場合の様式」と同じですが、特別条項の様式については、下記のような留意点があります。

・「臨時的に限度時間を超えて労働させることができる場合」欄
…「業務の都合上必要な場合」や「業務上やむを得ない場合」などといった抽象的な表現は認められず、できる限り具体的に記載する必要があります。
・1か月の期間については休日労働を含む時間数、1年の期間については休日労働を含まない時間数を書き分ける必要があります。
・「限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置」欄
…今までの36協定にはなかった新たな概念が加わっています。

「限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置」とはいったい何なのか?

分科会では、新様式案のほかに「労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項等に関する指針案」というものも公開されています。
この指針案の3ページに「健康確保措置」として、協定すべき内容の例が掲げられています。細かな内容ですが、重要なポイントのためそのまま抜粋させていただきます。

8 健康確保措置
労使当事者は、限度時間を超えて労働する労働者に対する健康確保措置について、次に掲げるもののうちから協定することが望ましいことに留意しなければならないこととする。
① 労働時間が一定時間を超えた労働者に医師による面接指導を実施すること。
② 法第37条第4項に規定する時刻の間において労働させる回数を1箇月について一定回数以内とすること。
③ 終業から始業までに一定時間以上の継続した休息時間を確保すること。
④ 労働者の勤務状況及びその健康状態に応じて、代償休日又は特別な休暇を付与すること。
⑤ 労働者の勤務状況及びその健康状態に応じて、健康診断を実施すること。
⑥ 年次有給休暇についてまとまった日数連続して取得することを含めてその取得を促進すること。
⑦ 心とからだの健康問題についての相談窓口を設置すること。
⑧ 労働者の勤務状況及びその健康状態に配慮し、必要な場合には適切な部署に配置転換をすること。
⑨ 必要に応じて、産業医等による助言・指導を受け、又は労働者に産業医等による保健指導を受けさせること。

今回の労基法改正で、これまで特別条項の上限時間というものがなくいわゆる青天井であったため、これについての上限規制が導入されることは大きく取り上げられていますが、特別条項の上限まではいかず、限度時間を超えて特別条項が必要になる場合についても様々な規制が入ってくるということが、ここからわかります。
すなわち、多くても月50~60時間程度に収まっていて、月80時間や100時間を超えるようなことはないといった企業にとっては、改正の影響はあまりないと思ってしまいがちかもしれませんが、そうではないということです。

なお、指針案には①~⑨までしか掲げられていませんが、特別条項の裏面「記載心得」(資料No.2-2の4ページ)を読むと「⑩ その他」が入っており、なぜこのような齟齬が生じているのかはわかりませんが、あくまで9個は例示であって、これら以外の措置でもよいということがわかります。
一部報道によれば、この健康確保措置の記載がない協定を監督署は受け付けないという方針のようです。

【この記事の改正データベース(法改部)はこちら


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