育児休業の分割取得を可能に、との提言がなされた件

2018年6月11日 | から管理者 | ファイル: 育児介護休業法.
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少子化克服戦略会議の提言

平成30(2018)年6月4日に開催された「少子化克服戦略会議」という会議体の第7回会議において、育児休業を分割して取得できるようにすることを柱とした提言がまとめられた、との報道がありました。

・内閣府 「少子化克服戦略会議 提言」

また育介法の改正?平成29年に2回も改正したのに…と感じた方も多いのではと思いますが、ここは冷静にその提言なるもの該当部分を読んでみましょう。

◆男性が育児をしやすくするための法制的な改善策とし、育児休業の分割など、弾力的な育児休業制度について、平成29年施行の改正育児介護休業法の施行状況等にも留意しながら、中長期的な視点に立って検討する。そのため、本年度中に施行状況の調査を開始する。調査結果の分析をした上で、育児休業制度に限らず男性が育児参加できるような方策について検討を開始する。

あくまでも提言であって、直ちに改正がなされるということではなく、

・平成29(2017)年改正後の施行状況の調査を開始する
・中長期的な検討
・検討されているのは「育児休業の分割」だけではない

ということがわかります。

なお、この会議体は厚生労働省ではなく、内閣府に置かれているものです。

・内閣府 「少子化克服戦略会議の開催について」

「パパ休暇」って、ご存知?

一方で、報道では「原則1回しか取ることができない育児休業」との表現がありましたが、この点について検証します。

通称「パパ休暇」という制度があります。母の出産後8週間以内の期間内に、父が育児休業を取得した場合には、特別な事情がなくても、再度、父が育児休業を取得できる、という制度です。

・厚生労働省資料 「両親で育児休業を取得しましょう!」

法律的にも制度的にも確かに原則1回に対する例外的な制度であることに間違いはないのですが、特段の事情がなくても再度取得できるということは、実質的には分割取得というとらえ方も可能です。
今回提言されている「育児休業の分割」がどういった内容のものを想定しているかは判然としませんが、すでに制度としてある「パパ休暇」が広く浸透しているようにも思えず、制度の存在は知ってはいるが使われていないのか、それともそもそも制度を知らないから使われていないのか、といった観点からの検証も必要と思われますが、パパ休暇ができたのは平成22(2010)年ですので、こちらの検証についてはすでに終わっているということなのかもしれません。

一部報道では、2019年度にも関連法を改正する、とありましたが、提言の「中長期的な視点」と矛盾しているようにも感じますし、本年度中に調査開始ということでは、間に合わないのではとも思えます。
ただし、平成29(2017)年10月1日施行の改正(保育所に入所できない等の理由がある場合の育児休業の延長 1歳6か月まで→2歳まで)については、同年の1月1日に改正があったにもかかわらず、急ピッチで検討が進められ異例の同じ年に2回の改正という離れ業でしたので、今後の動向に留意が必要です。


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