自転車配達員等を労災保険特別加入の対象とする検討

2021年5月28日 | から管理者 | ファイル: 労災保険法.
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労災保険の特別加入制度については、令和元(2019)年12月の労働政策審議会建議に、下記のような文言が見受けられました。

また、特別加入制度創設時の昭和40年当時にはなかった新たな仕事(例えばIT関係など)が創設されるとともに、様々な科学技術の成果が、我々の生活の中に急速に浸透している。
このような社会経済情勢の変化も踏まえ、特別加入の対象範囲や運用方法等について、適切かつ現代に合った制度運用となるよう見直しを行う必要がある。

この内容を受け、令和2(2020)年6月から労働政策審議会労働条件部会において、特別加入制度の見直しについての議論が進められました。この議論のプロセスにおいて、労災保険特別加入制度の対象として追加すべき業務・職業について国民から幅広く提案・意見を募集するということも行われました。

・厚生労働省 第89回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会 資料3  労災保険特別加入制度に係る提案・意見の概要

この結果では、芸能関係やアニメ制作についての要望が圧倒的に多く寄せられたようで、自転車による料理配達員といった文言は出てきていません。

令和3年4月1日施行の対象拡大

その後検討が重ねられ、下記の4類型が新たに特別加入制度の対象となり、運用が開始されています。

・ 芸能関係作業従事者
・ アニメーション制作作業従事者
・ 柔道整復師
・ 創業支援等措置に基づき事業を行う方

これらの詳しい内容については、下記サイトをご参照ください。

・厚生労働省 令和3年4月1日から労災保険の「特別加入」の対象が広がります

さらなる対象拡大の検討

ようやく施行に至ったばかりですが、次の対象拡大の議論が始まりました。令和3年4月1日施行を第一弾とすれば、今回は第二弾、今後も「適切かつ現代に合った制度運用となるよう見直し」が継続的に行われていくのかもしれません。
今回はすでに「自転車配達員」と「情報サービス業」の2類型が明示されています。

・厚生労働省 第97回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会 資料3 特別加入制度の対象範囲の拡大に関する検討事項

しかも下記資料のとおり、

資料4 業種区分及び新設予定区分の料率設定案について

すでにこれらの保険料率の予定の数値までが明記されているため、導入に向けての議論が進んでいくものと思われます。

フリーランスの法的保護の動き

一方、フリーランスの法的保護のため「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」が令和3(2021)年3月26日に策定されるなどの動きがあります。

・厚生労働省 フリーランスとして業務を行う方・フリーランスの方に業務を委託する事業者の方等へ

いわゆるセーフティーネットと言われる社会保障(社会保険)の検討が進んでいないという意見も聞かれますが、労災保険特別加入の対象拡大というところから徐々にではありますが進んでいます。

 

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