実は今が「まん防」?

2021年3月24日 | から管理者 | ファイル: 雇用保険法.
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令和3(2021)年3月21日で緊急事態が終了しました。
2月に行われた新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下「特措法」と表記します)の改正で、「新型インフルエンザ等まん延防止等重点措置」が新設されましたが、この措置のことを指して俗に「まん防」と言うことがあるようです。
本来は感染拡大の局面で局地的な区域を定めて適用されることが想定されているものの、感染が減少傾向のときに適用することを指す「下りまん防」が、緊急事態の解除と同時に発動されるのではないかという報道もありましたが、そのようなことはありませんでした。

しかし一方で、1時間、時間が後ろ倒しとなったものの飲食店への営業自粛要請は引き続き行われますし、イベントの開催制限や外出自粛等々についても各都道府県からの要請がなされているところです。

今の要請は何なのか?

では、緊急事態宣言に基づく要請でもなく、「まん防」による要請でもなく、今の要請は一体何なのでしょう。様々な要請を整理すると下表のとおりとなります。

名称 根拠(特措法)
法律に基づかない協力の依頼、お願い
法第24条第9項
まん延防止等重点措置 法第31条の6
緊急事態措置 法第45条

都道府県のコロナ関連のWebサイトを確認しますと、①と②が混在しているようです。
①は法律に基づかないものなので、名前がないのは仕方ないのですが、②が法律に基づくものにもかかわらず、はっきりとした名前がありません。法的にかたく表現するとすれば「法第24条第9項に基づく要請」としか言いようがないような気もします。

今が「まん防」で重点措置は「まん重」では?

緊急事態が終了しても、特措法に基づく「新型コロナウィルス感染症対策本部」が廃止されずに存続している限りは、都道府県知事は「法第24条第9項に基づく要請」を行うことができます。

新型コロナウィルス感染症対策本部が特措法に基づいて決定している基本的対処方針を読んでみますと、

・首相官邸 新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針

17ページにの下の方に「(3)まん延防止」という項があり、表に整理した①~④の措置の内容すべてがここに盛り込まれています。すなわち、①~④はすべて広い意味で「まん延防止」措置であり(としか言いようがない)、①が単なるお願いだとすれば、②が通常の「まん延防止」となり、③は「まん延防止」の「重点措置」となります。
そういうわけで③を「まん防」と称するのは違和感があり、もし積極的に略さなければいけない事情があるのだとしたら「まん重」となりそうです。

雇用調整助成金との関連

さて長々と前段を書いてきましたのは、今行われている措置や協力の要請が一体何を根拠に行われているのかが、雇用調整助成金の特例措置と関係してくるためです。
現在の予定では、現行の特例措置は4月末までで終了し、5月以降は段階的に措置を縮減していく一方で、令和3年2月12日付に出された下記資料(2~3ページ)には、

・厚生労働省 新たな雇用・訓練パッケージ 

感染が拡大している地域、すなわち、

まん延防止等重点措置対象地域の知事による基本的対処方針に沿った要請を受けて、新型インフルエンザ等対策特別措置法施行令第 11 条に定める施設における営業時間の短縮等に協力する飲食店等の事業所

については、

上限額 15,000 円、助成率最大 10/10(中小企業、大企業)

を維持するという文言が見受けられます。

首都圏の飲食店への営業短縮要請(法第24条第9項に基づく要請)は当初今月末までが想定されていたようですが、4月21日まで延長される見込みという報道がありました。
2月の時点では想定されていなかった状況が今後も引き続いたり、新たな対策や要請が出てくる可能性もありますので、これらの状況に応じて、雇用調整助成金についても措置の縮減の方向性が見直される可能性があります。

 

修正(4月2日)

略称の使用に批判や自粛の動きがあるようですので、誤解を避けるために、カタカナ表記を改めて「まん防」と変更しました。筆者の主眼は略称にあるのではなく「重点措置」という言葉がより重要なのではないかという趣旨で書いています。
なおこの記事は、まん延防止等重点措置がまだどの都道府県にも適用されていない段階(3月24日)に書いたものです。


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