新型コロナウィルス感染症の影響による休業があったことにより報酬が低下するケースが多く見受けられますが、従来の月変(月額変更届)の考え方に当てはめると、低下が3ヶ月継続しないと社会保険料を下げることができないのは何とかならないものかという声が挙がっていました。
1ヶ月の低下で月変が可能に
このような事態に対応するべく、社会保険の標準報酬月額の特例改定ができるようになりました。
1ヶ月の低下で月変に該当することとなり、届出を行うことにより、標準報酬月額を低下させることができ、その結果、社会保険料(健康保険料および厚生年金保険料)を下げることができるというものです。
額面の給与額が下がる一方で社会保険料がそのままですと、手取りがさらに少なくなるという事態になるため、社会保険料を少しでも下げることができるのは喜ばしいことなのですが、ここで留意すべき点があります。
標準報酬月額の役割
標準報酬月額は、社会保険料の額のベースとなるだけでなく、給付の額を決定するという役割も兼ね備えています。
社会保険の給付は様々なものがありますが、標準報酬が下がれば給付額が下がってしまうものもあるため、社会保険料が下がるという側面だけを見ていると、損をしてしまうケースがあるということです。
本人の同意を得ることが条件
したがいまして、このようなケースもあるということをご理解いただいたうえで、本人の同意を取ることが今回の特例の要件となっています。
参考として掲げられている同意書には「改定後の標準報酬月額に基づき、傷病手当金、出産手当金及び年金額などが算出されること。」という記載があります。わかりやすいのは、間もなく産前休暇に入る妊娠されている女性の方が出産手当金を受けることが予定されているようなケースです。
低下する社会保険料の額と、出産手当金の給付額がどれくらい低下するかは実際に試算しないとどちらが得かはケースバイケースですが、必ずしも社会保険料が少なくなるというメリットばかりではないということをご認識いただく必要があるということです。
手続などの詳細については、日本年金機構の下記サイトをご参照ください。
・日本年金機構 「新型コロナウイルス感染症の影響に伴う休業で著しく報酬が下がった場合における標準報酬月額の特例改定のご案内」
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