令和2(2020)年1月10日、厚生労働省労働政策審議会において「労働基準法の一部を改正する法律案要綱」の答申が行われました。
・厚生労働省 「労働基準法の一部を改正する法律案要綱」の答申
今月下旬に開催される通常国会に改正法案が提出される予定です。
民法の改正による検討の開始
賃金請求権の消滅時効は、現在、2年間と定められています。
民法の改正により短期消滅時効が廃止されることにより、労働基準法の消滅時効の在り方についての検討が、令和元(2019)年7月より下記検討会にて行われてきました。
・厚生労働省 労働政策審議会労働条件分科会
改正の内容
まず、労働者名簿、賃金台帳等の書類の保存期間が下記のとおり改正されます。
改正前 | 改正後 | |
労働者名簿等の保存期間 | 3年 | 5年 |
そして、賃金請求権の消滅時効期間もこれに合わせて下記のとおり改正されます。
改正前 | 改正後 | |
賃金請求権の消滅時効期間 | 2年 | 5年 |
賃金台帳などの記録が保存されていないと、いざ請求があっても遡って計算し直すことが困難ということで、書類の保存期間と消滅時効の期間が5年と合わせられます。
経過措置
以上は、労働基準法の本則上の話で、下記のとおり経過措置が設けられます。
改正前 | 経過措置 | 改正後 | |
労働者名簿等の保存期間 | 3年 | 3年 | 5年 |
賃金請求権の消滅時効期間 | 2年 | 3年 | 5年 |
経過措置の期間は具体的に定められておらず、「当分の間」とされました。
改正されないもの
この他、改正されないものがありますが、主なものを整理すると下表のとおりです。
消滅時効期間 | |
退職手当 | 5年 |
年次有給休暇 | 2年 |
災害補償請求権 | 2年 |
施行日
施行日は、民法の改正法の施行日に合わせて、令和2年4月1日が予定されています。
【この記事の改正データベース(法改部)はこちら】
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