標準報酬月額の上限が引き上げられる改正(厚生年金:620→650)

2019年11月25日 | から管理者 | ファイル: 厚生年金保険法.
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令和元(2019)年10月30日に行われた第13回社会保障審議会年金部会では、企業実務に影響のありそうな改正がいくつか示されましたが、そのうち本日は厚生年金保険の標準報酬月額等級の改定についてです。

650が新設

現在の厚生年金保険の標準報酬月額の最高等級は620(62万円)ですが、この上にもう一等級加えて、650(65万円)という等級をつくろうという改正です。

・資料2 「現行の厚生年金保険法の規定に基づく標準報酬月額等級の改定について(報告事項)」

(報告事項)とありますとおり、これはもう法律で決まっていることなので、審議や検討を待つまでもなく、改定させてもらいます、ということですね。
該当する条文を確認してみましょう。

〇厚生年金保険法
(標準報酬月額)
第二十条 (略)
2 毎年三月三十一日における全被保険者の標準報酬月額を平均した額の百分の二百に相当する額が標準報酬月額等級の最高等級の標準報酬月額を超える場合において、その状態が継続すると認められるときは、その年の九月一日から、健康保険法(大正十一年法律第七十号)第四十条第一項に規定する標準報酬月額の等級区分を参酌して、政令で、当該最高等級の上に更に等級を加える標準報酬月額の等級区分の改定を行うことができる。

全被保険者の標準報酬月額の平均が、最高等級の標準報酬月額を超えるときは更に上の等級を加えるということらしいのですが、よくよく読むと「その状態が継続すると認められるとき」という非常にあいまいな表現になっています。1回超えたくらいでは改定しないということなのでしょうが、果たして何年継続したら改定するのかよくわかりません。

背景にある特殊な事情

資料2の1ページには、その辺りの説明が書かれていて、平成28(2016)年3月以降4年連続で超えており、来年の3月末においても超えている場合は650をつくるよと言っています。法律は5年連続という状況まで求めていないように感じられますが、この間特殊な事情があったようです。
1ページの下の方に小さい字でこのように書かれています。

平成27年3月末の数値は被用者年金一元化前の数値であり、平成28年3月末以降の数値は厚生年金2~4号を含めた厚生年金全体の数値である。

なるほど、平成27(2015)年3月末と平成28年3月末の数値に大きな差があるのは、被用者年金が一元化されて共済組合の方々が厚生年金の被保険者に入ってきたからということですね。
3年くらいでも「継続」と言ってもよさそうですが、このようなやや特殊な事情があったから5年待ったという背景があるのかもしれません。
ちなみに、厚生年金2号は国共済、3号は地共済、4号は私学共済ということになります。

4ページの標準報酬月額ごとの被保険者数分布を見ても、620の被保険者が一番割合が多いという状況になっているようで、改定はやむを得ないという感じもします。

680は?

さて、今回5年待った弊害と言いますか副作用として、すでに平均の2倍が650にかなり迫ってきているということが挙げられます。
来年3月末に超える可能性もなくもなさそうですし、この間の推移をみると、再来年の3月末には超えそうな雰囲気が漂います。次の680への改定は果たして何年継続したら改定されるのでしょうか。

施行日

令和2(2020)年9月1日が予定されています。


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