「2ヶ月以内の期間を定めて使用される者」の社会保険の適用

2019年11月21日 | から管理者 | ファイル: 健康保険法, 厚生年金保険法.
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厚生労働省では各種審議会が頻繁に開かれ、年明けの通常国会へ提出する法案をはじめとした法改正の審議、検討が進められているところです。
年金関連の改正では、在職老齢年金の見直しや被用者保険・適用事業所の適用拡大について報道などでも大きく取り上げられているところですが、本日は企業実務に影響のありそうな細かな改正を取り上げさせていただきます。

「2ヶ月以内の期間を定めて使用される者」

パート・アルバイトの社会保険の適用は、労働時間の長短が問題となることが多いですが、雇用期間についても適用除外要件があります。
「2ヶ月以内の期間を定めて使用される者については被保険者としない。ただし、2ヶ月(2ヶ月未満の契約の場合はその期間)を超えて引き続き使用されるに至った場合を除く。」というものです。

現行は、当初から2ヶ月を超えて使用される見込みがある場合であっても、2ヶ月を超えた時点から加入するという運用がなされていますが、この点についての改正の検討が行われています。

厚生年金保険法第12条

現行の該当条文は何と言っているのでしょう。

(適用除外)
第十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、第九条及び第十条第一項の規定にかかわらず、厚生年金保険の被保険者としない。
 一 臨時に使用される者(船舶所有者に使用される船員を除く。)であつて、次に掲げるもの。ただし、イに掲げる者にあつては一月を超え、ロに掲げる者にあつては所定の期間を超え、引き続き使用されるに至つた場合を除く。
  イ 日々雇い入れられる者
  ロ 二月以内の期間を定めて使用される者
  (以下略)
よくよく読んでみると、「臨時に使用される者」であって「二月以内の期間を定めて使用される者」ということなので、当初から2ヶ月を超えて使用される見込みがある場合についてはそもそも該当しないのではないかとも読めそうですが、「臨時」の程度にもよってくるためあいまいであり、上記のような運用となってきたのでしょう。

「2か月を超えて使用される見込みがある場合」も当初から適用へ

令和元(2019)年10月30日に行われた第13回社会保障審議会年金部会では、上記取扱いを改めるための見直しの方向性が下記のとおり示されました。

・2ヶ月以内の雇用契約であっても、実態からみて、2ヶ月を超えて使用される見込みがあると判断できる場合
(例:①雇用契約上、契約更新があることが明示されている場合、②同一事業所の同一契約で更新等により2ヶ月を超えて雇用された実績がある場合)
にも、最初の2ヶ月の雇用期間を含めて、当初から社会保険を適用の対象とする。

法改正の見直しが示されたばかりですが、

事業所調査において、労働者名簿等に基づき適用されていない従業員等の雇用契約書等を確認し、上記要件①②のい
ずれかに該当することが事後的に判明した場合は、契約当初(保険料徴収の時効を踏まえて2年以内とする。)に遡及して適用
するよう指導する取扱いにする。

と、遡及適用の指導についての文言も見受けられます。

なお、示されたのは年金部会ですが、健康保険も同様の取扱いとなります。

詳しくは下記資料の2・3ページをご参照ください。

・資料1 「その他の制度改正事項及び業務運営改善事項について」

 


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