社会保障・労働分野の様々な計画の内容③

2019年7月23日 | から管理者 | ファイル: 未分類.
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規制改革実施計画の内容(後)

「規制改革実施計画」(規制改革推進会議)の後半の内容は下記のとおりです。

・ジョブ型正社員の雇用ルールの明確化の検討
・無期転換ルールの周知の在り方
・年休の取得しやすさ向上
・行政手続の簡素化

ジョブ型正社員の雇用ルールの明確化の検討

23ページに一例として次のような記載があります。

労働基準関係法令に規定する使用者による労働条件の明示事項について、勤務地変更(転勤)の有無や転勤の場合の条件が明示されるような方策

ここに書かれていることは、法的な要請を待つまでもなく、実務的に当然なされるべきことで、至極まっとうなことのように思います。
これによりジョブ型正社員が普及するというよりは、事業主にとってはジョブ型正社員を導入するには履行、留意しなければならないことが法的に増えると認識したほうがよさそうです。

無期転換ルールの周知の在り方

23ページに次のような記載があります。

無期転換ルールが周知されるよう、有期労働契約が更新されて5年を超える労働者を雇用する企業は当該労働者に対して無期転換ルールの内容を通知する方策を含め、労働者に対する制度周知の在り方について検討し、必要な措置を講ずる。

これもどちらかというと、事業主にとっては規制強化という印象が否めなくもありません。ただし「該当者に対して無期転換ルールの内容を通知する方策」はあくまでも考えられる選択肢の一つであって、「周知の在り方について」今後検討が開始されるという段階です。

年休の取得しやすさ向上

年5日以上の取得義務が平成31(2019)年4月に施行されたばかりですが、25ページに一例として次のような記載があります。

労働者の年休の時間単位取得について、取得日数など利用の実態を調査する等の現状把握を行った上で、年休の時間単位取得の有効な活用の在り方について検討する。

時間単位取得は、法律上、企業にその導入が委ねられている制度(=導入するかしないかは自由)であるため、「規制改革」というほどでもないような気もしますが、取得しやすさ向上の一つの取組として掲げられています。

行政手続の簡素化

「規制改革」という文脈からは、このような項目が本丸であるような気もしますが、36ページに次のような記載があります。

…行政手続コスト20%削減が確実に実現するよう、対策を更に強化する…。

小欄でも個別の対策を随時紹介していますが、今後も続々と具体的な改正項目が出てくるでしょう。
37ページには、

中小企業・小規模事業者を対象とする補助金、社会保険の就職、退職時等の手続について、法人共通認証基盤(GビズID)を活用し、一つの ID・パスワードで簡単にオンライン申請できるようにする。

という項目も掲げられ、電子証明書の取得が必要で導入が困難な状況を打破するため、簡易なオンライン申請の実現が計画されています。実施時期は「令和2年4月からの導入を目指す」とされています。

(つづく)


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