「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案」が、平成31(2019)年2月15日に現在開会中の第198回国会に提出されたことはすでにお伝えさせていただいているとおりです。
この改正法案のうち、健康保険の被扶養者要件に国内居住要件が加わる改正については、小欄下記記事にてお伝えしましたが、本日は、この改正と同様の改正が、国民年金第3号被保険者にも行われることを取り上げさせていただきます。当該記事については、下記をご参照ください。
・平成31(2019)年1月25日付 「健康保険の被扶養者要件(国内居住要件)についての改正案が示されました」
第3号被保険者の国内居住要件
改めて新たに加わる箇所の条文を確認してみますと、
日本国内に住所を有する者
という表記があり、これを原則としつつも例外的に、
外国において留学をする学生その他の日本国内に住所を有しないが渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者として厚生労働省令で定める者
海外在住であるものの、国内に生活基盤がある者も含まれるとなっています。
「法律を適用除外すべき特別の理由がある者」?
上記の他にその前後を読むと、
その他この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者
という表現が出てきます(「法律案案文・理由」」の79ページあたり)。
健康保険被扶養者の国内居住要件のところにも出てくる表現ですが、これが一体何を指すかは直ちによくわからないものとなっています。
これについては、平成31(2019)年1月17日に開催された「第117回社会保障審議会医療保険部会」の下記資料が参考になるでしょう。
・資料3 医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案(仮称)について
8ページにの中段に、
いわゆる「医療滞在ビザ」等で来日して国内に居住する者を被扶養者の対象から除外する
という表現があり、このことを指しているものと推測されます。この点については、第3号被保険者だけでなく、第1号被保険者の適用除外要件としても加わります。
以上を整理すると…
上記推測が正しいという前提で整理すると、下表のとおりとなります。
国内居住 |
海外居住 |
「医療滞在ビザ」等で来日して国内に居住する者 | |||
日本国内に生活の基礎が | |||||
ある | ない | ||||
健康保険被扶養者 | 〇 | 〇 | × | × | |
国民年金 | 第3号 | 〇 | 〇 | × | × |
第1号 | ※1 | ※2 | × |
国民年金第1号被保険者の※の部分については、今回の改正に関係なく、国内居住要件があり(※1)、日本国籍で海外居住の方は任意加入することができます(※2)。
国民年金第3号被保険者の要件は、健康保険の被扶養者の要件とほぼ同一のため、被扶養者要件に改正が入ると必然的に同様の改正が入ることとなります。企業実務とは直接関係が薄いところですが、細かな点を見ていくとやや異なっている点があったりすることもあります。
施行予定日
本改正の施行日は、平成32(2020)年4月1日が予定されています。
【この記事の改正データベース(法改部)はこちら】
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