パワハラ防止対策義務化
平成30(2018)年12月14日に開催された「第13回労働政策審議会雇用環境・均等分科会」において、女性の職業生活における活躍の推進及び職場のハラスメント防止対策等の在り方についての報告書案が示されました。
・女性の職業生活における活躍の推進及び職場のハラスメント防止対策等の在り方について(報告書案)
この報告書案において、
事業主に対し、その雇用する労働者が自社の労働者等(役員等を含む。)からパワーハラスメントを受けることを防止するための雇用管理上の措置を義務付けることが適当である。
とされ、パワーハラスメントの防止するための措置を法律で義務づけることが適当とする方針がまとめられました。
労働施策総合推進法って一体何?
労働施策総合推進法と言われてもピンと来ない方も多いと思いますが、旧法律名は雇用対策法です。
働き方改革法で8つの法律が改正されていますが、あまり取り上げられることもなく、地味に改正された法律で、すでに施行しています。経緯やその内容を詳しくお知りになりたい方は、小欄の下記記事をご覧ください。
・平成30(2018)年11月16日付 「雇用施策基本方針と監督指導の強化」
いわば「働き方改革推進法」とも言える内容に衣替えしたわけですが、旧雇用対策法時代の制度なども残っているため、ごった煮と言いますか、ちゃんこ鍋状態の法律となっており、今回のように、パワハラ防止対策って一体何法に規定すべき?と悩むような施策をとりあえず入れるには最適な法律であると言え、なるほどその手があったか、という印象です。
旧法律名であった「雇用対策法」のままでは入れずらかったのではないかと思うのですが、パワハラ防止対策を入れることまで想定したうえで法律名を改正したのでしょうか。
女性活躍推進行動計画の対象企業の拡大など
さて冒頭掲げた報告書案には、その名称のとおり「女性の職業生活における活躍の推進」というテーマも掲げられています。報道ではあまり取り上げられていないようですが、女性活躍推進行動計画の対象企業の拡大について、報告書案に下記の記載があります。
女性活躍に関する計画的な PDCA サイクルを広く促すため、101 人以上 300 人以下の企業にも行動計画策定を義務付けることが適当である。
この件以外の改正やこの間の経緯については、小欄の下記記事をご参照ください。
・平成30(2018)年11月28日付 「女性活躍推進のための行動計画の策定義務企業を広げる検討」
セクハラ防止対策の実効性の向上
また、セクシュアルハラスメントの防止対策についても法改正の方針が示されており、社外の労働者に関するセクハラの防止対策の強化などの改正が行われる方針です。
この間の経緯については、小欄の下記記事をご参照ください。
・平成30(2018)年11月30日付 「セクハラ防止対策の実効性向上に向けた検討」
【この記事の改正データベース(法改部)はこちら】
追伸(平成30(2018)年12月18日)
平成30(2018)年12月14日付にて、報告書も公表されましたので、下記をご参照ください。
「女性の職業生活における活躍の推進及び職場のハラスメント防止対策等の在り方について」(建議)
タグ: パワハラ法制化
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