「ガイドライン案」が正式な指針へ
「同一労働同一賃金ガイドライン案」は、平成28(2016)年12月20日に公表されました。あれから2年が経ち、働き方改革法による改正に伴って、いわゆる非正規労働者への不合理な格差を禁止するための規定が整備されることにより、ガイドライン案を正式な法に基づく指針として位置づけるための検討が、下記審議会の部会において行われてきました。
・厚生労働省 労働政策審議会 職業安定分科会・雇用環境・均等分科会同一労働同一賃金部会
指針案についてのパブリックコメント
平成30(2018)年10月19日の第13回部会では、そのたたき台修正案が示され、同日付けで、その内容についての意見を募るパブリックコメントが公示されました。
・パブリックコメント 「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針(案)に係る意見募集について」
細かな文言や具体例などについて修正が加えられているものの、全体の内容としては2年前に示されたガイドライン案から大きな修正はされていませんが、定年再雇用者の賃金差について、案の時点では今後「検討を行う」といった記載がされていたところ、最高裁の判決などを受けてどのような記載になるかのが注目されていました。
定年再雇用者についての記載内容
その内容は、下記資料の2ページの中ほど(注)の下「また、…」のあたりに記載されています。
「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針(案)の概要
① 定年再雇用者であることは、「その他の事情」として考慮される事情に当たりうる。
② 様々な事情が総合的に考慮されて、待遇の相違が不合理か否かが判断される。
③ 定年再雇用者であることのみをもって、直ちに待遇の相違が不合理ではないと認められるものではない。
少しまとめてみますと、上記3点のことが書かれているようですが、もう少し明快な基準が示されることを期待していた方にとっては、やや抽象的で、結局どう判断したらいいのかわからない内容になってしまっているような気もします。
経緯のわかる資料
これだけではよくわからないという方は、平成30年8月30日付の第9回部会にて示されていた「たたき台の原案」との比較がわかる下記資料をご覧ください。
・第13回部会 資料2 「同一労働同一賃金ガイドラインのたたき台(短時間・有期雇用労働者に関する部分)」
この資料は、平成28年に示されたガイドライン案が右列に記載されているため比較が可能となっており、さらに、左列に「8月30日部会提出資料からの見え消し」とあるとおり、8月30日の原案からどのような修正が行われたかについても把握できるわかりやすいものとなっています。
この資料の15~17ページにかけて、黄色くハイライトされている部分がその該当箇所になりますが、ここに修正案では結局削除されてしまったより具体的な内容が書かれています。長い記載なので引用は避けますが、興味のある方はぜひこちらをご参照いただけると、何が言いたいのか多少わかってくるのではないかと思います。
パブリックコメントの受付締切日
パブリックコメントは、平成30年11月18日まで受付とされており、年内には正式に告示される予定のようです。
【この記事の改正データベース(法改部)はこちら】
タグ: 同一労働同一賃金
コメントは締め切りました。