世間では就活ルールの存廃をめぐってにわかに盛り上がっていますが、本日は、新卒採用にまつわる地味めな法改正を取り上げさせていただきます。
新卒者の求人不受理制度に不受理となる事由が追加される改正
働き方改革関連法のうち労働基準法の一部改正により、平成31年(2019)年4月1日(中小企業は1年遅れ)から「時間外労働の上限規制」が導入されることに伴い、平成30(2018)年8月29日に行われた「第81回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会」において、新卒者の求人不受理制度における不受理となる事由を追加する検討が行われ、その内容が公表されました。
「新卒者の求人不受理制度」って?
一定の労働関係法令違反があった企業を新卒者に紹介することのないようにするため、ハローワークにおいて新卒求人を一定期間受け付けないこととする制度です。
いわゆる「ブラック企業」問題が世間を賑わせた際に検討が行われ、その対策の一環として、平成28年3月1日から施行された制度です。
制度の詳細について詳しくお知りになりたい方は、厚生労働省の下記リーフレットをご参照ください。
・厚生労働省 「ハローワークでは労働関係法令違反があった事業所の新卒求人は受け付けません!」
しかしながらこの制度のつらいところが、リーフレットの表題にもありますとおり、法的な規制としては「ハローワーク」における求人不受理に限定せざるを得ないというところです。もちろん、厚生労働省もそのことを十分認識していて、下記のようなお願いのメッセージも掲げられています(3ページ)。
ただし、大卒者の就職活動は、ハローワーク以外を活用するケースが多いため、不受理の取扱いに関しては、職業紹介事業者もハローワークに準じた取組を行っていただくようお願いしています。
こういった事情もあり、職業紹介事業者向けのお願いのためのリーフレットも作成されているというわけです。
・厚生労働省 「労働関係法令違反があった事業所を新卒者などに紹介しないでください」
今回の改正の内容
これまで、労働時間関係の不受理事由は、第32条違反(=36協定を締結せずに法定労働時間を超えて時間外労働を行った場合)のみでしたが、第36条のうち「時間外労働の上限規制」の部分(=月100時間未満、複数月平均80時間未満)の違反が加わることとなります。
この他、有給休暇の取得義務違反なども加わりますが、詳細をお知りになりたい方は、上記部会の下記資料をご参照ください。
働き方改革関連法は、すでに法律として明らかにされている内容以外にも、今月中にも関連省令が公布される予定など、徐々に詳細が明らかになっていきますが、その影響は大きく、今回ご紹介した改正のように、非常にすそ野が広い改正であることがわかります。
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