人生100年時代と高齢者雇用

2018年5月18日 | から管理者 | ファイル: 高年齢雇用安定法.
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首相官邸において、平成29(2017)年9月11日から「人生 100 年時代構想会議」が断続的に開かれています。
この会議は、労働・雇用分野だけにとどまらず、経済・社会システム全般にわたる中長期的な政策のグランドデザインを検討するものですが、平成30(2018)年5月16日に第7回会議が開かれ、高年齢者雇用についての議論が行われたことが報道されていました。

業種によっては人手不足が深刻化しているため、年齢のことを言っている場合でなく、このような国の規制の動きを待たずに定年を引き上げるなどの動きが見受けられますが、国としてもあらためて国家的課題として継続雇用年齢を65歳以上に引き上げる方向で検討する旨が表明されたと報道されています。

高年齢雇用安定法の現在地

ところが、現時点での高年齢雇用安定法による雇用確保措置についての規制がどうなっているかというと、直近の法改正による経過措置がまさに進行中という事情があります。

〇平成25(2013)年4月1日 施行

継続雇用制度

改正前

現行

原則 希望者全員再雇用 (変更なし)
例外 労使協定により、継続雇用の基準を定め、基準を満たさない者を雇用しないことが可能 (廃止)

【経過措置】平成25年3月31日現在、継続雇用の基準を採用していた企業は、引き続き一定年齢以降については基準を適用することが可能

この改正が施行されてから5年が経過したことになりますが、この経過措置は12年に及ぶ長期間の措置となっており、ようやく折り返し地点を迎える段階です(平成37年に終了する予定)。

企業によっては、この経過措置を採用せず(採用できず)にすでに65歳まで希望者全員再雇用となっている企業もありますが、経過措置を採用してその真最中の企業が多いことも事実です。

検討の方向性

国としては、このような経過措置が残る中、さらに65歳以降に規制を引き上げることをすぐさま行うことはできないと考えているのでしょう。
「民間の先行事例の普及」や「初めて高齢者を採用する企業への支援策」といった規制の枠組みではない施策を先行して行っていくことのようです。

ただ一方で、実際に法制化するまでのプロセスにかかる時間、法律が決まった後の周知期間、さらに経過措置期間のことを考慮すると、今から検討を具体化していかないと諸々間に合わないのではといった印象も受けるところです。

このように最近は、厚生労働省の施策にかかわる事項が首相官邸や内閣府、はたまた経済産業省などにおいても検討されることが多くなっているため(例えば働き方改革実現会議も首相官邸)、視野を広げて情報を収集する必要がある機会が多くなってきています。

【この記事の改正データベース(法改部)はこちら


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