雇用保険手続の際には必ずマイナンバーの届出が必要となる件

2018年4月24日 | から管理者 | ファイル: 雇用保険法.
Pocket

平成30(2018)年5月から雇用保険手続の際には必ずマイナンバーの届出をお願いしますとのリーフレット等による周知がなされています。
この間、本件に関するQ&Aが出されるなどしていますが、厚生労働省からの情報は下記WEBサイトに集約されていますので、詳細はこちらでご確認ください。

・厚生労働省 「マイナンバー制度(雇用保険関係)」

あの改正は今〔平成28年2月の省令改正を振り返る〕

雇用保険とマイナンバーと言えば、平成28年年初における雇用継続給付を巡る混乱が思い出されます。混乱の末、平成28(2016)年2月16日付にて雇用保険施行規則が改正されることとなり、その内容と影響を簡易に整理したものが下表となります。

改正前 改正後
雇用継続給付の支給申請手続 被保険者 事業主
マイナンバーの確認書類の提出 必要 不要
事業主が申請手続を行う際の労使協定 必要 不要

改正前、雇用継続給付の申請手続は被保険者本人が原則として行うこととなっており、例外的に労働者代表と労使協定を締結したときは事業主が申請手続を行うことができるというたてつけとなっていました。
きちんと労使協定を締結する企業もありましたし、このことを知らずに労使協定を締結しないまま事業主が手続を行ってしまっていた例も少なからずあったと思います。

パブリックコメントの有効活用事例

このような中、マイナンバー制度が導入されたため、事業主は申請主体ではなくあくまでも「代理人」であるため、マイナンバーの確認書類をそのつど手続の際に添付しなければならないという整理になりそうだったところ、その事務負担の膨大さに意見、批判が殺到し、省令改正が行われることとなりました。
そのような動きの中のひとつの要素としてパブリックコメントが活用されましたが、有効に機能することもあるという好事例です。

改正後、雇用継続給付の申請手続は原則として事業主を経由して行うことと整理されました。これによりマイナンバー制度上も事業主が晴れて「個人番号関係事務実施者」と位置付けられることとなったため、確認書類の添付は不要となりました。
またこの副産物として、労使協定も当然に不要になったわけですが、この改正経緯を知らずに「雇用継続給付って労使協定が必要でしたよね」と勘違いされている方も未だ見受けられるようです。

日本年金機構がマイナンバーまたは基礎年金番号いずれかを記載すればよいという整理にしたことなどに比べて、Q&Aを読んでみてもやや釈然としない部分が多い一方で、いろいろと工夫もみられることは確かですので、平成28年のような混乱が起きないことを祈るばかりです。


コメントは締め切りました。