厚生労働省は、育児・介護休業法の改正により、令和4(2022)年10月1日から創設される「出生時育児休業」を「産後パパ育休」と称し始めました。
用語がバラバラでよくわからなくなるおそれがあるため整理すると下表のとおりとなります。
報道などでよく使われている用語 | 男性版産休 |
法律上の用語 | 出生時育児休業 |
厚生労働省による愛称(通称) | 産後パパ育休 |
「男性版産休」という用語は、法改正の検討が始まったころからマスコミが積極的に使用していましたが、実務的にはなかなか使うことのできない表現で、例えば「いわゆる男性版産休と言われるもののことです。」といった使い方になるのではないでしょうか。
さて、改正後の育児・介護休業法の条文を読むと、「出生時育児休業」について特に男性が対象というような文言は見当たりません。しかし、出産した女性は、申出が必要とされない労働基準法上の産後休業が優先されるため必然的に「出生時育児休業」の対象とはなりません。そうすると、「産後パパ育休」を取得できるのは男性のみということでよいのでしょうか?
この点につき、厚生労働省は、下記リーフレットにて下記のとおり解説しています(13ページ)。
・厚生労働省 育児・介護休業等に関する規則の規定例(個別周知・意向確認、雇用環境整備の例を含む)
産後休業をしていない従業員とは、主に男性が対象になりますが、養子等の場合は女性も対象となります。
出産した女性は対象外ですが、出産していない女性は対象となる、ということです。
育児・介護休業法では、その対象となる子の範囲を次のように定めています。
・法律上の親子関係がある子(養子を含む)
・特別養子縁組のための試験的な養育期間にある子
・養子縁組里親に委託されている子
・当該労働者を養子縁組里親として委託することが適当と認められているにもかかわらず、実親等が反対したことにより、当該労働者を養育里親として委託された子
特別養子縁組、里親制度については、下記をご参照ください。
養子等の場合で「出生時育児休業」を取得するケースは極めて少数ということもあってか、厚生労働省はわかりやすさを優先して「産後パパ育休」という愛称を用いることとしました。しかし一方で誤解を生みかねない表現にもなってしまっています。
「出生時育児休業」という用語は法律に規定された用語でややカタい感じもしますが、制度の名称という意味では、より正確なものとなっています。
タグ: 改正育介法2021
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