令和3(2021)年2月12日付にて厚生労働省から「新たな雇用・訓練パッケージ」というものが公表されました。
・厚生労働省 新たな雇用・訓練パッケージ
表題が抽象的過ぎて何のことかと思いますが、端的に言えば、雇用調整助成金を主とした休業支援を中心に行われてきた新型コロナウィルスへの雇用対策を転換し、新たな方向性と施策を示したもののようです。
職業訓練の要件緩和や拡充なども大きな柱になっていますが、この間、揺れ動いている雇用調整助成金について、新たな方向性が示されている部分もありますので、この点について取り上げさせていただきます。
緊急事態宣言との関係(おおむね4月まで)
特例措置については、2月8日付に公布された雇用保険法施行規則の改正により、下記のとおり改正されたばかりでした。
改正前 | 改正後 | |
特例措置の延長期限 | 令和3年2月28日まで | 緊急事態宣言が全国で解除された月の翌月末まで |
ところが、本パッケージによれば、
緊急事態宣言が2月中に全国で解除された場合も4月末まで継続
という方針が示されました。
裏を返せば、延長された3月7日までを待たずに2月末で前倒しで解除する方向性になっているのだろうかと思わせるようにも読めます。
改正省令が出てからわずか4日後の方針転換ということになりますが、アジャイルな動きと言いますか、かなり臨機応変な対応と受け止めることができるでしょう。
5~6月の特例措置の方針
5~6月については、下表のとおり方針が示されました。
4月末まで | 5~6月 | |
日額上限 | 15,000円 | 13,500円 |
助成率 | 最大10/10 | 最大9/10 |
一方、1~2月にかけて新たに創設された大企業向けの特例措置は、下表とおりの方針が示されました。
中小企業・大企業に関わらず、AまたはBの特例措置の要件に該当すれば下表のとおりの措置内容が継続されるということです。企業規模に関わらず特例が継続される要件が統合され、AまたはBの要件に該当しない限り、上表のとおり特例措置の内容が縮減されることになります。
A 感染拡大地域特例(営業時間の短縮等に協力する事業主)
4月末まで | 5~6月 | |
日額上限 | 15,000円 | 15,000円 |
助成率 | 最大10/10 | 最大10/10 |
ただしこちらは、まん延防止等重点措置対象地域に指定された地域があれば、という前提になります。
B 業況特例(特に業況が悪い事業主)
4月末まで | 5~6月 | |
日額上限 | 15,000円 | 15,000円 |
助成率 | 最大10/10 | 最大10/10 |
こちらは、緊急事態宣言やまん延防止措置は直接関係なく、
生産指標(売上げ高等)が前年または前々年の同期と比べ、最近3ヶ月の月平均値で30%以上減少
していることなどが要件となります。
これらは1月22日に公表された前広な情報と変わりない内容が示されました。
7月以降の特例措置の方針
7月以降については、下記のような文言が見受けられます。
7月以降については、雇用情勢が大きく悪化しない限り、上記の原則的な措置及び感染が拡大している地域・特に業況が厳しい企業への特例措置をそれぞれ更に縮減する。
いずれも省令改正が必要な情報ですので、感染状況の動向も含めて、確定情報を待つ必要があります。
おわびと訂正
日額上限の表示が誤って「15,500円」となっておりましたので「15,000円」に訂正しました。
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