オンラインによる面接指導については、
・情報通信機器を用いた労働安全衛生法第66条の8第1項、第66条の8の2第1項、第66条の8の4第1項及び第66条の10第3項の規定に基づく医師による面接指導の実施について
という通達が示されています(上記リンク先は、執筆日現在、改正前の内容のままとなっています)。
表題の条文がそれぞれ何を指しているかというと、下記のとおりです。
・第66条の8第1項…長時間労働者(月80時間超の時間外・休日労働があり申し出た者)に対する面接指導
・第66条の8の2第1項…研究開発業務従事者(月100時間超の時間外・休日労働があった者)に対する面接指導
・第66条の8の4第1項…高度プロフェッショナル制適用者(1週当たりの健康管理時間が40時間を超えた時間について月100時間超行った者)に対する面接指導
・第66条の10第3項…ストレスチェックの高ストレス者に対する面接指導
平成27年にストレスチェック制度ができた際、現在ほどはオンラインによる会議や面談が一般的でなかったこともあり、面接指導は、
原則として直接対面によって行うことが望ましい
とされ、
直ちに法違反となるものではない
という、あくまでも例外的な位置づけとなっていました。また、電話による面接指導については、下記のような文言も見受けられました。
なお、映像を伴わない電話による面接指導の実施は認められない。
改正の内容
近年のオンラインによる会議ツールの普及や、コロナ下において様々な会議や面接等について直接対面によらない方法が推奨される中、令和2(2020)年11月19日付で上記通達に改正が行われることとなりました(改正後の通達はこちら)。
改正内容としては、下記の点となります。
①直接対面による方法を原則とはしなくなった
②医師に提供しなければならない情報が追加
③オンラインによる場合の要件の緩和
④映像を伴わない電話による面接指導も可能に
①直接対面による方法を原則とはしなくなった
原則として直接対面によって行うことが望ましい
という文言が削除されるとともに、オンラインによる面接指導は、法違反となる可能性も言及されていましたが、そのような文言も削除されました。これらに代わり、
面接指導を実施する医師が必要と認める場合には、直接対面によって行うことが必要がある。
という表現になりました。
②医師に提供しなければならない情報が追加
これまで、オンラインによる面接指導の実施の際に、事業者が医師に対して情報提供しなければならない項目として、
・面接指導を受ける労働者に関する労働時間等の勤務の状況及び作業環境等に関する情報
がありましたが、これに加え、
・面接指導を受ける労働者が業務に従事している事業場に関する事業概要、業務の内容及び作業環境等に関する情報
・対象労働者に関する業務の内容
が加えられました。
③オンラインによる場合の要件の緩和
面接指導を実施する医師の要件として、
面接指導を実施する医師が、対象労働者が所属する事業業の産業医である場合
など、4つ掲げられている要件のいずれかに該当することとなっていましたが、
いずれかの場合に該当することが望ましい
という表現に変わりました。
また、4つ目の要件
面接指導を実施する医師が、過去1年以内に、対象労働者に直接対面により指導等を実施したことがある場合
のうち、「直接対面により」という表現が削除されました。
④映像を伴わない電話による面接指導も可能に
なお、映像を伴わない電話による面接指導の実施は認められない。
という文言が削除されました。
次回は、オンラインによる安全(衛生)委員会の開催についての通達について取り上げる予定です。
コメントは締め切りました。