いわゆる「パワハラ指針」が告示されました

2020年1月16日 | から管理者 | ファイル: 労働施策総合推進法, 男女雇用機会均等法, 育児介護休業法.
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令和2(2020)年1月15日付の官報にて、パワハラ防止措置の義務化を内容とする改正法の施行に関連した指針が告示されました。

「パワハラ指針」の制定

事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(厚生労働省告示第5号)

今後おそらく「パワハラ指針」と呼ばれていくであろう指針です。

各種ハラスメント関連指針の改正

これとは別に、もう一つ関連する指針が告示されました。

・事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針等の一部を改正する件(厚生労働省告示第6号)

こちらは、すでにある各種ハラスメント関連の下記3つの指針を改正する内容を含むものです。

  1. 事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針(21ページ~)
  2. 事業主が職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針(26ページ~)
  3. 子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針(32ページ~)

それぞれ長い名前ですが、浸透度の是非は別として略称を用いるとすれば、1は「セクハラ指針」、2は「マタハラ指針」、3は「育児介護休業指針」となるでしょうか。
1と2はそれぞれのハラスメント防止に特化した指針で、構成の骨格は類似していますが、3は育児介護休業法全体にかかる指針であって、その一項目として「育児休業・介護休業等に関するハラスメント」の項が入っているというところが若干異なります。そのためか、他は横書きなのですが、3のみが縦書きとなっています。

さてそれぞれの内容の詳細は追って取り上げさせていただくとして、なんでこんなに似たような指針がたくさんがあるのか、表にまとめてみました。

一般的な名称 法律用語 根拠法
パワハラ ※新 優越的な関係を背景とした言動 労働施策総合推進法
セクハラ(1) 性的な言動 男女雇用機会均等法
マタハラ(2) 妊娠、出産等に関する言動 男女雇用機会均等法
育児休業・介護休業に関するハラスメント(3) 育児休業等に関する言動 育児・介護休業法

※3の「育児休業・介護休業に関するハラスメント」は一般的とは言えないかもしれませんが、「育児休業等」としてしまうと介護休業も含まれているとは夢にも思わなかった、という事態が生じてしまうおそれもあるため、このように表記するようにしています。

こうしてみますと、セクハラとマタハラは同じ法律なのですが、これはもうそろそろ、ハラスメント基本法的な法律にひとまとめにして、共通する部分と異なる部分はどこかを明確にした方がよい段階に来ている感じがします。
そうでないと、企業がハラスメント防止対策を講じるときに(共通する部分が多いにもかかわらず)4つの指針それぞれに目を通さないといけないという非効率な事態が生じてしまっているためです。

適用日

パワハラ防止措置義務化の施行日である令和2年6月1日から適用するとされました。


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