パワハラ防止法(女性活躍推進法等改正法)の施行日が決定

2019年12月9日 | から管理者 | ファイル: 労働施策総合推進法, 女性活躍推進法, 男女雇用機会均等法, 育児介護休業法.
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令和元(2019)年12月4日の官報にて、パワハラ防止対策義務化の追加が改正内容に含まれる女性活躍推進法等改正法の施行期日を定める政令が公布されました。

・令和元年12月4日付官報 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」

改正法別施行期日の内容

この政令を読んだだけではよくわからないため、改正法別に整理しますと、下表のとおりとなります。

法律名 改正内容 施行日(改正法の施行日) 施行日(政令で定められた施行日)
①女性活躍推進法 女性活躍推進のための行動計画の策定等義務企業の対象拡大(300人超→100人超) 公布日から3年以内の政令で定める日 令和4(2022)年4月1日
プラチナえるぼしの創設 公布日から1年以内の政令で定める日 令和2(2020)年6月1日
情報公表項目の改正
②労働施策総合推進法 パワハラ防止措置の義務化 公布日から1年以内の政令で定める日(中小企業については、公布日から3年以内の政令で定める日まで努力義務) 令和2(2020)年6月1日
(中小企業については、公布日から3年以内の政令で定める日まで努力義務)
③男女雇用機会均等法 セクシュアルハラスメント・マタニティハラスメントに関する相談を行ったこと等を理由とする不利益な取扱いの禁止など 公布日から1年以内の政令で定める日 令和2(2020)年6月1日
社外の関係者とのセクシュアルハラスメントに関する措置
④労働者派遣法 パワハラ防止措置について、派遣先事業主も派遣労働者を雇用する事業主とみなす 公布日から1年以内の政令で定める日 令和2(2020)年6月1日
⑤育児・介護休業法 育児休業・介護休業等に関するハラスメントに関する相談を行ったこと等を理由とする不利益な取扱いの禁止など 公布日から1年以内の政令で定める日 令和2(2020)年6月1日

令和元年10月28日に行われた「第21回労働政策審議会雇用環境・均等分科会」に公表された下記資料も合わせてご参照ください。

【参考資料1】女性活躍推進法等改正法等の施行期日(案)について

中小企業についての経過措置は?

さて、パワハラ防止措置の義務化については中小企業に経過措置がありますが、この点はどうなったのでしょうか。
中小企業については、公布日から3年以内の政令で定める日までは適用が猶予され、上記分科会の参考資料1によれば、

令和4年3月31日までは努力義務

とされています。
しかし、公布された政令には、この日付が出てきません。これは一体どういうことなのでしょうか。

中小企業が当面努力義務とされる日付は「経過措置」であって「施行期日」ではないため、別途もう一つ公布される予定の政令に定められる案が分科会の下記資料に示されています。

【資料1-2】女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令案について【概要】

該当部分を引用しますと、

(3)改正法附則第3条の政令で定める日の制定
○ 改正法附則第3条の規定により、中小事業主のパワーハラスメントに関する雇用管理上の措置義務について、改正法の公布後3年以内の政令で定める日までの間、努力義務とすることとされているところ、当該政令で定める日を令和4年3月31日とする。

との記載があります。
したがって、現時点では中小企業への適用を当面努力義務とする経過措置の日付は、案の段階で決定していないということになります。

こちらの政令の公布日は、令和元年12月下旬が予定されています。

【この記事の改正データベース(法改部)はこちら

 

よみとき帳

「パワハラ防止法」という法律はありません。「パワハラ防止対策の義務化」が盛り込まれた法律は「労働施策総合推進法(正式名称:労働政策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律、旧名称:雇用対策法)」です。

「働き方改革法」もそうでしたが、最近の改正法は、複数の法律の改正を一括にまとめた形で提出されることが多くなっています。
施行期日をまとめた表のとおり、複数の法律の改正が一括された「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律」の中に、労働施策総合推進法の改正が入っているという構造になっています。


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