「災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働」に関する通達

2019年6月24日 | から管理者 | ファイル: 労働基準法.
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解釈を明確化する、とされていた件

労働基準法第33条の解釈については、小欄の下記記事にて言及していました。

平成30(2018)年8月24日  「時間外労働の上限規制と労働基準法第33条」

平成29年3月28日に決定された「働き方改革実行計画」の「4.罰則付き時間外労働の上限規制の導入など長時間労働の是正」の該当部分(14ページ)を再掲します。

(事前に予測できない災害その他事項の取扱)
突発的な事故への対応を含め、事前に予測できない災害その他避けることのできない事由については、労働基準法第 33 条による労働時間の延長の対象となっており、この措置は継続する。措置の内容については、サーバーへの攻撃によるシステムダウンへの対応や大規模なリコールへの対応なども含まれていることを解釈上、明確化する。

その後、「時間外労働の上限規制」施行日である平成31(2019)年4月1日に合わせて、明確化されたものが発出されるものと心待ちにしていましたが、音沙汰なく施行日が過ぎ去っていました。

発出された二つの通達

そしてようやく、待ちに待った通達が二つ、令和元(2019)年6月7日といういささか中途半端なタイミングで発出されました。

災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等に係る許可基準の一部改正について(昭和22年9月13日発基第17号)(最終改正:令和元年6月7日基発0607第1号)…A

災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等に係る許可基準の解釈に当たっての留意点について(令和元年6月7日基監発0607第1号)…B

局長通達

Aは労働基準局長名で出されていて、旧許可基準の一部を改正するという形が取られています。旧許可基準は下記のようになっていましたので、

(一) 第一項は災害、緊急、不可抗力その他客観的に避けることのできない場合の規定であるから厳格に運用すべきものであつてその許可又は事後の承認は概ね次の基準によつて取り扱うこと。(1) 単なる業務の繁忙その他これに準ずる経営上の必要は認めないこと。
(2) 急病、ボイラーの爆発その他人命又は公益を保護するための必要は認めること。
(3) 事業の運営を不可能ならしめるやうな突発的な機械の故障の修理は認めるが通常予見される部分的な修理、定期的な手入は認めないこと。(二) 削除
(三) 第二項の命令については慎重に取り扱い故意に脱法を図るもの又は不当な延長が長時間に瓦るものについてこれを発すること。

具体的な例示が増えるとともに、昨今の社会状況に応じたものに書き換えられました。冒頭に下記のとおりの説明があるとおりです。

現代的な事象等を踏まえて解釈の明確化を図るものであること。また、旧許可基準及び関連通達で示している基本的な考え方に変更はないこと。

あくまでも、解釈が明確化されたのであって、基本的な考え方に変更はない、というところが重要です。

課長通達

Bは労働基準局監督課長名で出されて、Aにさらに解説を加えるという形が取られています。

新許可基準に定めた事項はあくまでも例示であり、限定列挙ではなく、これら以外の事案についても「災害その他避けることのできない事由によつて、臨時の必要がある場合」となることもあり得ること。

との説明があるとおり、想像しているよりも広く活用できる局面が多そうです。

【この記事の改正データベース(法改部)はこちら


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