このところ「行政手続の簡素化」にまつわるニュースが多くなっていますが、またひとつパブリックコメントが出ました。
・パブリックコメント 「健康保険法施行規則等の一部を改正する省令案に関するご意見募集について」
届出契機が同一のものを一つづりとした統一様式を設け、統一様式を用いる場合はワンストップでの届出が可能となるという、ある意味、画期的な改正です。
現況と改正の方向性
例えば、社員が入社した場合、資格取得届をハローワーク(雇用保険)と年金事務所(健康保険・厚生年金保険)とに出さなければなりません(協会けんぽの場合)。
それぞれ、重複しない独自の記載項目もありますが、重複する項目も多数あるため、同じようなことを2回書く、というようなことを行わなければならないのが現状です。
長年、このようなことが当たり前に行われてきたわけですが、とうとうこの度、行政手続簡素化3原則のうちの「ワンスオンリー」・「ワンストップ」という原則にも則って、実現されることとなりました。
平成30年3月に公表された「行政手続コスト」削減のための基本計画にも、この方針が示されていました。11ページのあたりです。
改正の具体的な内容
対象となる届出様式は、大きく下記の二つに分かれます。
〇会社の設立・廃止関連
〇従業員の入社・退社関連
会社の設立・廃止関連
・設立 下表の届出の統一様式が設けられます。
健康保険・厚生年金保険 | 雇用保険 | 労働保険 |
新規適用届 | 適用事業所設置届 | 保険関係成立届 |
・廃止 下表の届出の統一様式が設けられます。
健康保険・厚生年金保険 | 雇用保険 |
適用事業所全喪届 | 適用事業所廃止届 |
※パブリックコメントの概要は、全喪届と廃止届の表記が逆になっていたり、その他引用条文にも誤りがあるなど、混乱が見受けられますのでご注意ください。
従業員の入社・退社関連
・入社 下表の届出の統一様式が設けられます。
健康保険・厚生年金保険 | 雇用保険 |
被保険者資格取得届 | 被保険者資格取得届 |
・退社
健康保険・厚生年金保険 | 雇用保険 |
被保険者資格喪失届 | 被保険者資格喪失届 |
なお、誠に残念ながら健保組合の手続はこれらワンストップ化から除かれるということです。健保組合加入事業所にとっては、雇用保険と厚生年金保険は統一されるものの、健康保険の手続は別に残ることになります。
また、下記の施行予定日の時点では、紙の様式の統一のみが予定されており、電子申請における統一は別途検討が行われるようです。基本計画の12ページに、下記のような記載が見受けられます。
統一様式の運用は平成 31 年度からとし、新様式に対するシステム改修が生じることから、平成 33 年度末までの5か年で取り組む。
したがって、すでに電子申請に移行している企業にとっては、当面あまりメリットがありません。
施行予定日
施行日は、令和2(2020)年1月1日が予定されています。
令和元(2019)年6月26日まで、意見募集が受け付けられています。
【この記事の改正データベース(法改部)はこちら】
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