平成31(2019)年2月14日に行われた「第14回労働政策審議会雇用環境・均等分科会」おいて公表された「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案要綱」のうち、既存のハラスメント対策の強化関連の改正内容のご紹介です。
ハラスメントに関する相談を行ったこと等を理由とする不利益な取扱いの禁止など
事業主は、労働者が下記に掲げることを行ったことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない、とされます。
・ハラスメントに関する相談を行ったこと
・事業主による相談への対応に協力した際に事実を述べたこと
対象となるハラスメントには、下記が含まれます。
○セクシュアルハラスメント
○妊娠・出産等に関するハラスメント(いわゆるマタハラ)
○育児休業・介護休業等に関するハラスメント
社外の関係者とのセクシュアルハラスメント
社内で行われるセクシュアルハラスメント以外にも、
・ 自社の労働者が社外の労働者に対してセクシュアルハラスメントを行わないよう配慮すること
・「自社の労働者が社外の労働者や顧客等からセクシュアルハラスメントを受けた場合」も、雇用管理上の措置義務の対象となること
が明確化されます。
また、事業主は、他の事業主からセクシュアルハラスメントに関する雇用管理上の措置の実施に関し必要な協力を求められた場合には、これに応ずる努力義務も課されます。
見送られた改正
なお分科会では、セクシュアルハラスメント等の行為者に対して刑事罰による制裁を科すことについても検討が行われましたが、中長期的な検討を要するとされ、改正は見送られました。
施行予定日
「法律の公布日から1年以内の政令で定める日」とされています。今国会中に成立、公布されたとすると、来年4月あたりが候補になってくるでしょう。
なお、前回ご紹介した「パワハラ防止対策の法制化」については、中小企業について「法律の公布日から3年以内の政令で定める日」までは努力義務とする経過措置がありますが、本日ご紹介した改正については経過措置はありません。
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