労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱い指針案が公表されました

2018年8月6日 | から管理者 | ファイル: 働き方改革関連法, 労働安全衛生法.
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先般公布された働き方改革法の中で、労働安全衛生法も改正され「産業医・産業保健機能」の強化などいくつかの改正が行わることとなりますが、改正項目の一つとして、下記のような条文が加わっています。

〇労働安全衛生法
(心身の状態に関する情報の取扱い)
第百四条 事業者は、この法律又はこれに基づく命令の規定による措置の実施に関し、労働者の心身の状態に関する情報を収集し、保管し、又は使用するに当たつては、労働者の健康の確保に必要な範囲内で労働者の心身の状態に関する情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければならない。ただし、本人の同意がある場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない。
2 事業者は、労働者の心身の状態に関する情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならない。
3 厚生労働大臣は、前二項の規定により事業者が講ずべき措置の適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。
(第4項 略)

従業員の健康情報については、平成27(2015)年に導入されたストレスチェック制度の結果の取り扱いなど、近年、複雑になってきていることに加え、個人情報保護法における「要配慮個人情報」にも該当することから、各企業においてより慎重な取扱いが求められることとなってきています。
これらを背景に、労働者が安心して事業場における健康相談や健康診断を受けられるように、健康情報の管理についての指針が定められることとなりました。

その指針の具体的な内容を定めるため、平成30(2018)年4月から「労働者の心身の状態に関する情報の取扱いの在り方に関する検討会」が開催され、議論が行われてきましたが、7月25日に「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針(案)」が公表されました。

内容としては、健康情報の取扱いに関する原則を明らかにするとともに、企業が策定すべき取扱規程の内容、策定の方法、運用等について示すこととされており、企業はこの指針を参考としつつ、衛生委員会等を活用するなどして企業ごとの取扱規程を定めることが求められることとなります。

指針を読んだだけでは具体的にどうすればよいかわからないといった側面もありますので、事例集、Q&A、取扱規程の雛形なども合わせて整備される見込みです。

報道ではほとんど取り上げられず、厚生労働省のリーフレット等にも少しだけしか言及されていない改正項目ですが、施行日は平成31(2019)年4月1日となっています。

なお、ストレスチェック制度導入の際に話題となった従事者の「秘密の保持規定」が現行第104条ですが、上記条文が第104条として新設されることに伴い、現行第104条は第105条に繰り下がることになります。

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