5・6月の雇用調整助成金について、特例措置を徐々に縮小していく方針が、令和3(2021)年2月12日の時点で厚生労働省から示されていました。この件については、小欄下記記事において取り上げたとおりです。
令和3年4月16日に行われた「第163回労働政策審議会職業安定分科会」では、上記方針に沿った内容が含まれる「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令」についての資料が公表されました。
その内容は、下記資料の2ページにわかりやすくまとめられています。
・厚生労働省 資料1-2:雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案概要
個々の内容までは掲げませんが、原則的な措置として日額の上限を13,500円とするとともに、1月に緊急事態宣言等対応特例として大企業に適用された「地域特例」と「業況特例」を中小企業にも適用して、これらに該当すれば、日額の上限は15,000円のままとするといったところが基本的な内容です。
しかし、上記資料の1ページに、この改正省令の公布日について、
公布日:令和3年4月中旬(予定)
との記載があり、すぐに改正省令が公布される予定だったものと思われますが、小欄執筆時点(4月23日)でまだ公布がされていません。
「地域特例」の地域=まん延防止等重点措置実施地域
それでは、「地域特例」に該当する場合は具体的にどういうケースかを見てみますと、2ページの欄外に下記のような記載があります。
5月・6月 :まん延防止等重点措置実施地域(注)において、知事による、新型インフルエンザ対策等特別措置法第18条に規定する基本的対処方針に沿った要請を受けて同法施行令第11条に定める施設における営業時間の短縮等に協力する事業主(大企業及び中小企業)
まん延防止等重点措置実施地域は刻一刻と変わっていっていますので掲げませんが、緊急事態宣言のことについては何ら触れられていないのです。
緊急事態宣言との関連
4月16日に公表された資料は、2月12日の時点での方針がベースとなっています。この時点では前回の緊急事態宣言の真っただ中ですので、緊急事態宣言が解除された後、再度の緊急事態が開始される展開になるとは想像できていなかったのだと思います。
この1週間で3回目の緊急事態宣言が現実味を帯び、本日宣言が出される段取りとなっています。厚生労働省も大阪府の動向などを当然認識していたものの、先週の段階では掲げられた資料で一旦進めるしかなかったのでしょう。
緊急事態宣言の発令を踏まえて必要な修正が行われたうえで、来週中に改正省令が公布されることになるでしょう。
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