在宅勤務の費用負担の取扱い①

2021年4月12日 | から管理者 | ファイル: 健康保険法, 労働保険徴収法, 厚生年金保険法.
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テレワークを行う際の費用を、社会保険料や労働保険料の算定基礎に含めるべきか否かについては、統一した見解が示されていませんでしたが、この度厚生労働省からQ&Aという形式にて見解が示されました。

・厚生労働省 テレワーク総合ポータルサイト Q&A

その考え方は、すでに令和3(2021)年1月に先行して公表されていた国税庁による「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ」に示されている考え方がほぼ踏襲されています。

国税庁による課税の考え方

国税庁による課税の考え方をまとめますと、

A 費用の実費相当額を精算して支給する場合…課税をする必要はない
B 実際にかかった費用に関わらず一定額を渡切で支給する場合…課税する必要がある

となっています。
例えばパソコンなどの事務用品等はかかった費用が比較的わかりやすいですが、電話代やネット接続料などの通信費や電気料金については、業務に使用した部分と、業務外に使用した部分とを簡単には分けることができません。

そこで国税庁は、通信費や電気料金について、業務使用部分を計算する際の計算方法について示していますが、ひとりひとりの従業員についてこの計算方法にならって額を算出するのはかなり手間がかかるため、現実的ではありません。
ここではその式を引用して紹介することは避けますが、例えば電気料金については「自宅の床面積」と「業務のために使用した部屋の床面積」を把握したうえでその比率を求めるという概念も出てくるため、ここだけ取ってもなかなかハードルが高いなという印象がします。

国税庁FAQと異なるところ「交通費」

冒頭で紹介した厚生労働省のQ&Aは、在宅勤務に関するものが二つ掲げられていますが、この中で、国税庁と大きく異なるところが「交通費」についての解説がなされているところです。

「通勤手当」は、一定の限度額までは非課税ですが、社会保険料・労働保険料の算定基礎には含めなければならないという違いがあります。
そこで、テレワーク対象者が一時的に出社する際の交通費の取扱いについて、一つ目の下記Q&Aの前半部分(=(1))に、その考え方が示されています。

テレワークを導入した際の交通費や在宅勤務手当は社会保険料・労働保険料等の算定基礎に含めるべきでしょうか?

その日の労務提供地がどこかが問題

在宅勤務が推奨される状況下ですが、週に〇日や月に〇日は要出勤日と定められているケースが多いでしょう。
このように、あらかじめ企業への出社が前提となっている労働日について支給される費用は、通勤手当として、社会保険料・労働保険料の算定基礎には含めなければならないことになります。

一方で、その日は当初在宅勤務が予定されていたが、何か急に対応が必要となったため業務命令により一時的に出社することとなった費用については、実費弁償の交通費となり、社会保険料・労働保険料の算定基礎には含めなくてよい、という切り分けがされました。

(つづく)


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