昨年2~3月にかけて新型コロナウィルスの第一波の感染拡大が広がっていった際、厚生労働省は、「新型コロナウィルスに関するQ&A」を連日のように更新していました。
Q&Aにおける安全(衛生)委員会の開催についての文言の変遷
小欄でもその内容の変更をできる限り取り上げていましたが、安全(衛生)委員会の開催についてのQ&Aが最初に追加されたのは、令和2(2020)年3月5日時点版でした。
・令和2年3月6日付 「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)(令和2年3月5日時点版)」
この中に、
<安全委員会等の開催>
問6 新型コロナウイルス感染症の拡⼤防⽌のため、従業員が集まる会議等を中⽌していますが、労働安全衛⽣法に基づく安全委員会等の開催については、どのように対応すればよいでしょうか。
という設問が加わりました。
新型コロナウイルス感染症の拡⼤を防⽌する観点から、安全委員会等を開催するに際してはテレビ電話による会議⽅式にすることや、開催を延期することなど、当⾯の間、弾⼒的な運⽤を図ることとして差し⽀えありません。
なお、いずれの⽅式にしても衛⽣委員会等を開催するに際しては、新型コロナウイルス感染症の拡⼤防⽌に向けた対応等について調査審議いただくなどにより積極的に対応いただきますようお願いいたします。また、この取扱いは、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえた当⾯の間に限られた対応となりますので、ご注意ください。
当初は比較的ざっくりとした内容で、当面の間に限られた対応という内容でした。
その後、3月11日AM時点版では(この頃は1日に2回更新が行われていたりしました)、
令和2年3月12日付 「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)(令和2年3月11日AM時点版)」
「当面の間」が「令和2年5月末まで」と具体的な期限が明記されました。
そして、4月21日時点版にて、
令和2年4月22日付 「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)(令和2年4月21日版)」
「令和2年5月末まで」が「令和2年6月末まで」と延長されました。
7月1日時点版では、
令和2年7月7日付 「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)(令和2年7月1日版)」
<安全委員会等の開催>
問3 新型コロナウイルス感染症の拡⼤防⽌のため、労働安全衛⽣法に基づく安全委員会等の開催については、どのように対応すればよいでしょうか。安全委員会等については、法令に基づき毎⽉1回以上開催する必要がありますので、いわゆる“三つの密”を避け、⼗分な感染防⽌対策を講じた上で開催してください。安全委員会等を開催するに際しては、事業場における新型コロナウイルス感染症の拡⼤防⽌に向けた対応等についても議題に含めるなど、積極的な調査審議に努めていただきますようお願いいたします。
いったん感染拡大が収束したこともあり、「テレビ電話による会議⽅式」という文言が見られなくなりました。
オンラインによる安全(衛生)委員会の開催についての通達
そして、令和2年8月27日付にて
・情報通信機器を用いた労働安全衛生法第17条、第18条及び第19条の規定に基づく安全委員会等の開催について
という通達が発出されました。
表題の条文がそれぞれ何を指しているかというと、下記のとおりです。
・第17条…安全委員会
・第18条…衛生委員会
・第19条…安全衛生委員会
先日取り上げたオンラインによる医師の面接指導については、
令和3(2021)年1月18日付 「オンラインによる医師の面接指導についての通達が改正された件」
「医師による面接指導」のため比較的細かく要件が定められていましたが、この「安全(衛生)委員会」については、比較的ゆるやかで、社内で行われる(法的根拠のない)各種会議をオンラインで行う際に当然注意すべきことと同等のことが書かれているように感じます。
要件① 即時性のある方法
2の留意事項の(2)には要件が書かれていますが、まず「ア」として、即時性のある方法についての解説があります。
対面により安全委員会等を開催する場合と同様に、情報通信機器を用いた安全委員会等において、委員相互の円滑な意見交換等が即時に行われ、必要な事項についての調査審議が尽くされていること。
以上の部分は、特段明記がありませんが、映像、音声のあるWeb会議やオンライン会議と言われるものが想定されているようです。
なお、音声通信による開催やチャット機能を用いた意見交換等による開催については、調査審議に必要な資料が確認でき、委員相互の円滑な意見交換等及び必要な事項についての十分な調査審議が可能であること。
そしてさらに、映像のない「音声通信による開催」(いわゆる「電話」)や、「チャット機能を用いた意見交換等による開催」についても、後段の要件が満たされいれば用いていよいということです。
要件② 即時性のない方法
さらに、「イ」として、「ア」の即時性のある方法が原則であることを確認しつつも、例外として、
電子メール等を活用した即時性のない方法により開催することとして差し支えないこと。
という表現も見られます。こちらは要件がいろいろとあるため引用を避けますが、ご関心のある方は原文をご確認ください。
新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)の今
「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」は、令和2年11月13日時点版で更新が止まっていますが、7月の時点での内容から変更がないままとなっています。
コメントは締め切りました。