新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)(令和2年4月10日版)後

2020年4月13日 | から管理者 | ファイル: 労働基準法, 労働安全衛生法.
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「新型コロナウイルス感染症に関するQ&A(企業の方向け)」を定点観測し、変更された内容をお伝えさせていただいております。

・厚生労働省 「新型コロナウイルス感染症に関するQ&A(企業の方向け)」

今回は、令和2年4月6日時点版との相違点についての後半です。

質問項目の増減や統廃合など

新たなカテゴリー「9 労働者派遣」が加わり、六つの設問が書き加えられました。前半の3問が「労働者派遣契約の中途解除等について」、後半の3問が「派遣労働者のテレワークについて」と大きく分かれています。

「労働者派遣契約の中途解除等について」

緊急事態宣言下における要請や指示を受けて、労働者派遣の中途解除をせざるを得ない場合の措置や留意事項がまとめられています。

「9-問1」は下記のような設問です。

問1 (派遣先の方)改正新型インフルエンザ特別措置法に基づく緊急事態宣言下で、都道府県知事からの要請・指示等を受け、事業を休止したことを理由として、労働者派遣契約を中途解除せざるをえない場合、派遣先は、労働者派遣法第29条の2に基づく措置を講ずる必要はありますか。

労働者派遣法の該当条文を引用すると、下記のとおりです。

第二十九条の二 労働者派遣の役務の提供を受ける者は、その者の都合による労働者派遣契約の解除に当たつては、当該労働者派遣に係る派遣労働者の新たな就業の機会の確保、労働者派遣をする事業主による当該派遣労働者に対する休業手当等の支払に要する費用を確保するための当該費用の負担その他の当該派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置を講じなければならない。

問いに対する答を抜粋すると、

…都道府県知事から施設の使用制限や停止等の要請・指示等を受けて派遣先において事業を休止したことに伴い、労働者派遣契約を中途解除する場合であっても、一律に労働者派遣法第29条の2に基づく措置を講ずる義務がなくなるものではありません。

となっており、緊急事態宣言等による要請であっても、一律に、派遣先の都合によるものではないと判断されるものではないという趣旨のことが書かれています。これは、自社で雇用する従業員について、休業手当の支払義務が一律になくなるものではないという見解と同趣旨のものと受け止めることができるでしょう。

「9-問3」は派遣元に関する設問です。

・労働者派遣の終了のみを理由として派遣労働者を解雇してはならない
・一定の要件を満たす派遣労働者については、派遣先への直接雇用の依頼などの雇用安定措置義務が生じること
・雇用調整助成金を活用して、休業による雇用の維持を図ること

などが書かれています。

とはいえ、現実的に中途解除せざるを得ない状況において、結局、派遣元・派遣先どちらが補償責任などを負うのかというあたりが「9-問2」に書かれているのですが、

…民事上の契約関係の話ですので、労働者派遣契約上の規定に基づき、派遣元と派遣先でよく話し合い、対応してください。

厚生労働省としては、こう言うしかないのであろうという回答にとどまっています。少なくともこの点については、労働者派遣法の問題ではない部分があるということが把握できます。

「派遣労働者のテレワークについて」

後半の3問は「派遣労働者のテレワークについて」です。
それぞれの引用はしませんが、テレワークを行うにあたっての契約(問4)、自宅の巡回(問5)、自宅の住所の把握(問6)について、基本的な考え方が示されており、柔軟な対応が可能であることがわかります。


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