健康保険被扶養者 国内居住要件の経過措置

2019年7月4日 | から管理者 | ファイル: 健康保険法.
Pocket

健康保険の被扶養者要件を原則として国内居住者に限ることとするなどの改正を含む「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律」が令和元(2019)年5月22日付の官報で公布されましたが、改正法には、国内居住要件についての経過措置が見当たりませんでした。

例外的に国外居住で被扶養者認定される者はどのようなケースかについては省令で定められますが、その内容については、小欄下記記事をご参照いただくとして、

・令和元年6月18日 「被扶養者認定要件の改正省令」

被扶養者資格に関する経過措置

この改正省令についてのパブリックコメントの概要に、経過措置らしきものが記載されている部分がありますので、こちらをご紹介させていただきます。

・パブリックコメント 「健康保険法施行規則等の一部を改正する省令(案)に関する意見募集について」

概要の中ほどに、下記のような記載があります。

なお、この省令の施行により被扶養者等でなくなる者であって、施行日(令和2年4月1日)時点で保険医療機関に入院している者の被扶養者等の資格について、入院期間中は継続させることとする。

来年4月1日を迎えると、例外に該当しない限り、国外居住者は被扶養者でなくなるわけですが、施行日に入院している方については、ばっさりと被扶養者資格をはく奪することはしない、という経過措置が定められるもようです。

手続・届出に関する経過措置

また、この改正法の内容がきちんと周知されないと、法律上は被扶養者資格を有していないにもかかわらず、来年4月1日以降も保険証を(悪気なく)使ってしまう例が起きてしまうことでしょう。
こういったケースで、遡及して被扶養者から削除して、医療費の返還をするとなるとお互いに大変な作業になることが想定されましたが、こちらについても、細かな事務の方向性が示されています。

厚生労働大臣及び健康保険組合は、この省令の施行の日前においても、本改正後の規定により国内居住要件の例外に該当する旨を記載した被扶養者異動届や本改正後の規定により被扶養者の要件を満たさなくなった者に係る被扶養者削除届の届出の受理を行うことができることとする。

すなわち、施行日を迎える前から、国内に居住する被扶養者を有する被保険者に対して、例外に該当するかどうかの確認や、例外に該当しない場合は被扶養者から削除する届出も行うことができるようにするもようです。
これは、来年4月1日以降知らずに保険証を使ってしまった、という不幸な例を回避するための施策と読むことができ、改正省令が公布され次第、周知の開始に向けての準備が始まっていくことでしょう。

【この記事の改正データベース(法改部)はこちら

 


タグ:

コメントは締め切りました。