「70歳雇用 企業に努力義務」(令和元(2019)年5月16日 日本経済新聞朝刊)といった見出しが新聞各紙に躍りました。
法改正、あるある
この手の報道があると問い合わせが増えますが、しかしその内容は誤解に基づいたものが多いということがよくあります。一見、何かが決まったかのように思われるのですが、現時点では何も決まっておらず、方針が示されただけなのです。
もちろん、記事の見出しだけでなくその内容をきちんと読めばそのような事実関係は把握できるのですが、見出しだけ拾い読みする忙しい方も多いのでしょう。
「未来投資会議」で示された資料の内容
根拠となっているのは、令和元年5月15日に行われた第27回未来投資会議にて示された下記資料です。
〇配布資料1 「高齢者雇用促進及び中途採用・経験者採用の促進」
この資料のポイントを整理すると、下記のとおりとなるでしょう。
① 70歳までの雇用確保の選択肢のイメージが示された
② 選択肢は、現行の65歳までの雇用確保措置より多様
③ 第一段階として努力義務とし、実態に応じて義務化を検討する
④ 来年の通常国会にて第一段階の法案提出を目指す
①について、
示された雇用確保の選択肢の中には「個人の社会貢献活動参加への資金提供」などといった項目もあり、本当に法律上の選択肢となり得るのか、まだまだ粗い資料となっているようで、文字どおり「想定しうるイメージ」と受け止めるべきでしょう。
④について、
ちょうど今国会が開かれているということもあってか、現国会に改正法案が提出された、とか、法律が通って来年から施行なのか、といった誤解があるようですが、その前の段階で、来年の法案提出が目指されている、ということがわかります。
各紙の動向
ちなみに当日の朝刊各紙の取り上げ方を確認してみましたが、日経のほか、産経、毎日は1面、読売は2面、朝日は6面となっていました。
今後の予定
この夏にも示される工程表付きの実行計画にこれらの方針が盛り込まれ、その後、労働政策審議会において審議が行われる予定です。
【この記事の改正データベース(法改部)はこちら】
タグ: 70歳雇用
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