労働政策審議会雇用環境・均等分科会は、平成30(2018)年9月25日に第6回分科会を開き、パワーハラスメント防止対策についての審議を開始しました。
・厚生労働省 第6回労働政策審議会雇用環境・均等分科会配布資料
この間の経緯
平成24(2012)年3月に行われた下表上段の円卓会議による提言における、パワーハラスメントの概念や行為類型等が、長らく参照され、パワハラ防止のための周知・啓発のために用いられてきました。
会議名 | 報告書など | |
平成24年3月 | 職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議 | 職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言 |
平成30年3月 | 職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会 | 「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」報告書 |
その後、平成29(2017)年から今年にかけて、上表下段の検討会が行われ、3月に報告書がまとめられたところです。防止対策をより前に進めるべきという点は一致したものの、法制化か、法的根拠のないガイドラインにとどめるか、については結論が出ず、両論併記のような内容となっており、今後、労働政策審議会において、検討が進められるべきであるとされていました。
そして平成30年、秋
内閣改造により大臣は交代となってしまいましたが、平成30年9月18日の加藤大臣会見においては、冒頭お示しした第6回検討会開催を前に、下記のようなコメントが出ていました。
パワハラについては検討会の報告書を踏まえて議論するということでありますので、その中で法整備の必要性、あるいはそこまで行かないまでもガイドライン等による対応と色々な議論があると思いますから、それらを踏まえて結論を得ていただきたいと思っています。
ところが、9月24日付日本経済新聞朝刊1面に「パワハラ防止へ法整備 相談窓口設置義務に」という見出しの記事が出て「あれ、パワハラの法制化って決まったんだっけ?」と思われた方も少なくないのではないでしょうか。
「厚労省検討」との小さい見出しも下にありますし、記事をよく読むとこれから検討が始まるのですね、ということはわかるのですが、9月2回目の3連休の最終日の朝にお休みモードの頭をたたき起こされた感がしなくもない出来事でした。
一方で、分科会開催を受けた翌日26日の朝刊では、小さく「パワハラ防止 年内に具体案」という見出しで、議論が開始され年内に具体策をまとめる方針であるといった内容をベタ記事で紹介していますので、現時点で法整備の可能性が直ちに高まっているという状況では(少なくとも表向きには)ないようにも推察されます。
雇用環境・均等分科会は、10月中の第7回と第8回の開催のお知らせが立て続けに公表されており、年内に結論を得る方向で、急ピッチに議論が進められようとしているところです。同分科会では、セクシュアルハラスメント防止対策の実効性の向上についての議論も行われる予定です。
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タグ: パワハラ法制化
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