参議院厚生労働委員会における付帯決議は、47項目にもわたるということで少し話題になっているようです。やや量は多いですが、おおむね至極まっとうな内容が丁寧に書かれているように思います。
項目を分類すると、解釈によって分かれてくる部分はあるかと思いますが、おおむね下表のように整理することができます。分類番号10までが改正法に直接かかわる事項、11以降は改正法に直接書かれていないものの、働き方改革実行計画にかかわる内容といったふうに大雑把に分けることができるでしょう。
分類番号 | 主な内容 | 附帯決議の項番号 |
1 | 労働時間の基本原則 | 1 |
2 | 時間外労働の上限規制 | 2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,46,47 |
3 | 労働時間の把握義務 | 12,24 |
4 | 勤務間インターバル | 13 |
5 | 年次有給休暇の付与義務 | 14 |
6 | 過半数代表者の選出 | 15 |
7 | 裁量労働制 | 16,18 |
8 | 中小企業に対する配慮 | 17 |
9 | 高度プロフェッショナル労働制 | 19,20,21,22,23,25,26,27,28,29,30,31 |
10 | 同一労働同一賃金 | 32,33,34,35,36 |
11 | 無期転換権 | 37 |
12 | パワハラ、セクハラ | 38 |
13 | 副業・兼業 | 39 |
14 | 労働基準監督署の体制強化 | 40 |
15 | ワークルール教育の推進 | 41 |
16 | 中小企業の人材確保・取引条件の改善 | 42 |
17 | 職場環境の改善 | 43 |
18 | 就職氷河期世代への対応、子育て・介護と仕事の両立・外国人人材の受け入れ | 44 |
19 | 産業医・産業保健機能の強化 | 45 |
読んでいると、時代の要請に応じて法律を改正することも然ることながら、法律をきちんと適用、運用していくことが大事であることを改めて痛感させられます。
なぜきちんと運用ができていないのか(運用できないおそれがあるのか)、きちんとした運用を行えるようにするために、項番号40において、指導当局の体制強化や連携強化にも触れられています。
さて、47項目あるうち一つ取り上げるとすれば、15番になると思います。
36協定など労使協定の締結当事者となる「過半数代表者の選任方法」に関するこの項目は、改正法には直接出てきませんが「使用者の意向による選出」はこれまでも違法であったところ、省令に具体的に明記され、監督指導も徹底されるという内容です。
実はここ数年、本件に関する周知や監督指導はすでに強化されていて、平成29(2017)年12月には下記リーフレットが公表されるなどともに、代表者選出が不適切として会社が書類送検されたり、裁判で敗訴したりする事例が散見されるようになっています。
・厚生労働省リーフレット 「36協定を締結する際は、…」
・参議院 「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案に対する附帯決議 」
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