労働契約法第20条のゆくえ

2018年4月21日 | から管理者 | ファイル: パートタイム労働法, 働き方改革関連法, 労働契約法.
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労働契約法第20条がなくなる?

定年再雇用後の賃金引下げを巡る訴訟として注目されている運送会社の最高裁の判決期日が平成30(2018)年6月1日に指定されたことが報道されています。
定年前と同じ仕事をしているにもかかわらず賃金を引き下げられたことは正社員と有期契約社員の不合理な格差を禁じた労働契約法第20条違反であるという原告の主張ですが、この度の「働き方改革関連法案」による改正によって、実はこの第20条がなくなってしまいます。

なくなってしまうというのは正確ではなく、パートタイム労働法にその内容が移管されるという表現がより正確ですが、整理すると下表のとおりとなります。

現行 改正後
正社員と短時間労働者との格差の禁止 パートタイム労働法

第8条

短時間・有期雇用労働法(?)

第8条

に集約

(労働契約法第20条は削除)

正社員と有期契約社員との格差の禁止 労働契約法

第20条

パートタイム労働法の法律名も変更に

パートタイム労働法は、これまで、フルタイムで働く非正規労働者を対象とできていないことが問題視されていましたが、この度の改正で、この問題を解消すべく合わせて法律名も改正されることとなります。

現行 改正後
正式名称 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律 短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律
略称 パートタイム労働法、パート労働法 など 短時間・有期雇用労働法(?)

「短時間・有期雇用労働法」という表記は、改正法案の条文に実際に出てくるものですが、今後どのような略称が定着していくのでしょうか。有期雇用労働者もその射程に入ったからには少なくともパートタイム労働法という略称はふさわしくなくなってしまいます。

これらの改正の施行日は平成32年4月1日です。中小企業への適用は平成33年4月1日と1年遅れになる予定ですが、これはあくまでも経過措置として定められているものですので、労働契約法第20条が移管されるタイミングは、法律の条文上はあくまでも平成32年4月1日となります。

現行第21条が第20条に

平成32年4月1に労働契約法第20条が削除されることにより、現行第21条(船員に関する特例)が第20条に繰り上がることとなります。
一方で最高裁判決が出されることにより、「労働契約法第20条」と表記した様々な文献・資料が寄稿され残されていくことなるでしょう。

労働契約法第20条の内容が短時間・有期雇用労働法第8条に移管、集約されたという改正経緯を知らないと、平成32年4月1日以降労働契約法第20条を見ても「船員に関する特例」が書かれていて何のことだかわからないという状態に陥るおそれがあります。

このことにより実務的に大きな混乱が起こるわけではありませんが、いわゆる「同一労働同一賃金」を巡る法令の整備が進むと同時に、これにまつわる訴訟が増えていく中でのちょっとした皮肉とも言え、現実社会の変化が先行し、法改正は常に後追いとなることの典型であると感じます。

【この記事の改正データベース(法改部)はこちら


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